...ただ人気のない処と遁(に)げましたわ...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...あたりに人気のないのを見すますと...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...どこかで若い女の忍び泣きの声が妙に籠(こも)った低い調(ととの)い調子でこの人気のない山の奥からポソポソと聞えてきたのであった...
橘外男 「逗子物語」
...時々人気のない煖房の前へ彼を誘い出すこともあったが...
徳田秋声 「仮装人物」
...人気のない宿へ帰って来た...
徳田秋声 「黴」
...二人で暗夜の中をウールシーヌとグラシエールの両郭に隣している人気のない街路を通って...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...人気のない部屋の空気と云うものはいつも坐(すわ)っている肩の上から人の手のように重くのしかかって来る...
林芙美子 「清貧の書」
...人気のないひッそりとした大通りを...
久生十蘭 「魔都」
...靄かかる人気のない道を辿ると病める天使のみ棲まうところありそこでは夜という名の幻影が黒の玉座に鎮座まします...
エドガー・A・ポオ Edger A. Poe 「ポオ異界詩集」
...よくもあんな人気のない家で二人きりの暮しに我慢して居られたものだと思いさえした...
堀辰雄 「菜穂子」
...私は未だ宿屋の番頭なども繰り込まぬ人気のない待合所のベンチに腰を降して「新進作家叢書」とか「ウエルテル文庫」などゝいふ小型の和訳本を読んだ...
牧野信一 「熱海線私語」
...人気のない山間の道を想像した...
水野葉舟 「遠野へ」
...その時の空襲警報発令中の人気のない応接室の片隅でいつもどおりの静かな顔でしかし...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...人気のない畳にさす春の日のなかに蹲つてゐた...
室生犀星 「鉄の死」
...人気のないところで君子は風呂敷包みにしていた人形をそっと出して見た...
山本禾太郎 「抱茗荷の説」
...二人は人気のない廊下を渡り...
横光利一 「旅愁」
...用がすんでからぼくは人気のない中甲板など歩いているうち...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...この全然人気のない原っぱの中で行われたか……ただ...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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