...妻は相變らず亡き人の足のあたりへ顏を添へて打伏してゐる...
伊藤左千夫 「奈々子」
...自分はありありと亡き人の俤(おもかげ)が目に浮かぶ...
伊藤左千夫 「奈々子」
...亡き人と語ることも出来る...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「消えた霊媒女」
...霊眼が開けば目のあたりに亡き人の姿さえ見ることも出来るとのことでした...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「消えた霊媒女」
...商人(あきうど)は亡き人の名を想ひいで...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...そのなかに正宗白鳥氏は今は亡き人の平尾不孤...
薄田泣菫 「恋妻であり敵であつた」
...英一君は私にも慈善切手實現に就いて遺言をするや否や心臟麻痺をおこし廿五歳を一期として亡き人の數に入つたのである...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...机の上にひろげられた詩箋(しせん)の上には鼈甲(べっこう)の眼鏡が亡き人の来るを待つが如く太い片方の蔓(つる)を立てていた...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...真の母はすでに亡き人ゆえうすれてしまう...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...書かぬ文字言はぬ言葉も相知れど如何すべきぞ住む世隔る しみじみとこの六月程物云はでやがて死別の苦に逢へるかな 信濃路の明星の湯に友待てば山風荒れて日の暮れし秋 我泣けど君が幻うち笑めり他界の人の云ひがひもなく から松の山を這ひたる亡き人の煙の末の心地する雨休みなく地震(なゐ)して秋の月明にあはれ燃ゆるか東京の街大正十二年秋の関東大震災は今日から見れば大したことでもなかつたが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...亡き人の親戚であるという侍従職がそばに立っている英国人の耳もとで「あの青年士官は伯爵夫人の私生児(しせいじ)ですよ」とささやくと...
プーシキン Alexander S Pushkin 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...其情如何に濃(こまやか)なるも亡き人をして飲食せしむることは叶わず...
福沢諭吉 「新女大学」
...既(すで)に世に亡き人と思いし朋友の再生に遭(あ)うたるが如(ごと)し...
福澤諭吉 「蘭学事始再版之序」
...亡き人の樣子の方が...
堀辰雄 「おもかげ」
...わが亡き人と瓜(うり)二つのすがたなのに...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...朽木氏は今は亡き人であるから...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...亡き人への親しい追憶こそは墓が吾々に示そうとする心なのです...
柳宗悦 「民藝四十年」
...いまは亡き人であるが...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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