...亡き人の弟といふ懷しさが先に立つて...
石川啄木 「鳥影」
...部屋に帰って亡き人の姉々らと過ぎし記憶をたどって...
伊藤左千夫 「奈々子」
...自分をあれ程までに労(いた)はり羽含(はぐく)んでくれた亡き人の犠牲的な愛を思ふと...
薄田泣菫 「茶話」
...この書はその亡き人びとの代弁をつとめるであろう...
永井隆 「この子を残して」
...真の母はすでに亡き人ゆえうすれてしまう...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...もう、今も、昔も、ありし人も、亡き人も、ごっちゃになってしまったお銀様の頭では、何はさて置き、幸内の口から再び、或いは現実的であり、或いはお伽噺(とぎばなし)の国の話である物語を聞くことの、うれしさ、床(ゆか)しさに満たされてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...胆吹の山の女賊の手にかかって亡き人の数に入っている...
中里介山 「大菩薩峠」
...亡き人を故(もと)に返さぬ無惨(むざん)なものである...
夏目漱石 「虞美人草」
...追善の場合に亡き人の句を竪句とすること普通の例なり...
正岡子規 「俳諧大要」
...おそらく亡き人の遺言を重んじてのことだったのだろう...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「なぐり合い」
...僅な事にも氣を配つて亡き人の遺志のために戦ひながら...
水野仙子 「響」
...朽木氏は今は亡き人であるから...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...えいの事をわたくしの問うたこの翁媼は今や亡き人である...
森鴎外 「細木香以」
...亡き人への親しい追憶こそは墓が吾々に示そうとする心なのです...
柳宗悦 「民藝四十年」
...名を変えるのみか亡き人の再生と思えとまで云い添えてある...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...そして妻のみぎはは臣之助に三十日ほど後(おく)れて亡き人となった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...世に亡き人になっていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...亡き人を偲んでのことに違いないと私は思った...
J. S. レ・ファニュ J.S.Le Fanu The Creative CAT 訳 「ドラムガニョールの白い猫」
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