...亡き人の今朝からの俤を繰返し繰返し思ひ浮べて泣いた...
伊藤左千夫 「奈々子」
...霊眼が開けば目のあたりに亡き人の姿さえ見ることも出来るとのことでした...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「消えた霊媒女」
...今は亡き人の角田浩々歌客氏や...
薄田泣菫 「恋妻であり敵であつた」
...亡き人を憶ふ心落葉の頃にもまさりてまた一段の深きを加ふべし...
永井荷風 「礫川※[#「彳+淌のつくり」、第3水準1-84-33]※[#「彳+羊」、第3水準1-84-32]記」
...真の母はすでに亡き人ゆえうすれてしまう...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...この世に亡き人の数に入っている...
中里介山 「大菩薩峠」
...それを夫人は先に 亡き人の古き消息人見せぬ多少は恋に渡りたる文 と歌はれたが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...そこで亡き人の札幌となる...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...書かぬ文字言はぬ言葉も相知れど如何すべきぞ住む世隔る しみじみとこの六月程物云はでやがて死別の苦に逢へるかな 信濃路の明星の湯に友待てば山風荒れて日の暮れし秋 我泣けど君が幻うち笑めり他界の人の云ひがひもなく から松の山を這ひたる亡き人の煙の末の心地する雨休みなく地震(なゐ)して秋の月明にあはれ燃ゆるか東京の街大正十二年秋の関東大震災は今日から見れば大したことでもなかつたが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...彼女自身のはひつてゆく餘地のないやうにすらときどき思へるほど弘の心をいまだに占めてゐる亡き人のさういふ思ひ出に對して彼女自身でも氣まりの惡いやうな氣もちさへもちかねなかつた...
堀辰雄 「おもかげ」
...その後故あって廃業して仕舞い一場(いちじょう)の昔譚(むかしばなし)を今日に残したその妻も今は疾(と)く亡き人の数に入った...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...追善の場合に亡き人の句を竪句とすること普通の例なり...
正岡子規 「俳諧大要」
...朽木氏は今は亡き人であるから...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...えいの事をわたくしの問うたこの翁媼は今や亡き人である...
森鴎外 「細木香以」
...それというのが四十九日の間は亡き人の霊が梁のところに留っているという郷里の年寄り衆の言い慣わしに姑も馴染んでいるためで...
矢田津世子 「茶粥の記」
...是は亡き人の往(い)って住むという...
柳田国男 「海上の道」
...亡き人に代って小次郎の手へ授けると...
吉川英治 「宮本武蔵」
...世に亡き人になっていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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