...亡き人の弟といふ懐しさが先に立つて...
石川啄木 「鳥影」
...部屋に歸つて亡き人の姉々等と過ぎし記憶をたどつて...
伊藤左千夫 「奈々子」
...妻は相変わらず亡き人の足のあたりへ顔を添えてうつぶしている...
伊藤左千夫 「奈々子」
...こんな物へ弟の馨は亡き人を忍ぶつもりで毎日水をやつてゐる...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...そのなかに正宗白鳥氏は今は亡き人の平尾不孤...
薄田泣菫 「恋妻であり敵であつた」
...郷里との交渉やら亡き人の後始末やらに忙殺されて...
寺田寅彦 「障子の落書」
...亡き人を憶ふ心落葉の頃にもまさりてまた一段の深きを加ふべし...
永井荷風 「礫川※[#「彳+淌のつくり」、第3水準1-84-33]※[#「彳+羊」、第3水準1-84-32]記」
...真の母はすでに亡き人ゆえうすれてしまう...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...この世に亡き人の数に入っている...
中里介山 「大菩薩峠」
...亡き人を故(もと)に返さぬ無惨(むざん)なものである...
夏目漱石 「虞美人草」
...既に世に亡き人と思ひし朋友の再生に遭(あ)ふたるが如し...
福沢諭吉 「蘭学事始再版序」
...その後故あって廃業して仕舞い一場(いちじょう)の昔譚(むかしばなし)を今日に残したその妻も今は疾(と)く亡き人の数に入った...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...尋(つい)で九月始めて肺患に罹(かか)り後赤十字社病院に入り療養を尽(つくし)し効(かい)もなく今年二月一日に亡き人の数には入りたりとぞ...
正岡子規 「墨汁一滴」
...亡き人への親しい追憶こそは墓が吾々に示そうとする心なのです...
柳宗悦 「民藝四十年」
...名を変えるのみか亡き人の再生と思えとまで云い添えてある...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...そして妻のみぎはは臣之助に三十日ほど後(おく)れて亡き人となった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...また毒矢のぬし史文恭(しぶんきょう)をもいけどって亡き人のうらみを報ぜん...
吉川英治 「新・水滸伝」
...亡き人に代って小次郎の手へ授けると...
吉川英治 「宮本武蔵」
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