...此の如きは恐らくは不一致の要求から生れた人爲の二筋道である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...で、お定も急がしく萠黄の大風呂敷を擴げて、手りの物を集め出したが、衣服といつても唯(たつた)六七枚、帶も二筋、娘心には色々と不滿があつて、この袷は少し老(ふ)けてゐるとか、此袖口が餘り開き過ぎてゐるとか、密(ひそ)々話に小一時間もかゝつて、漸々(やう/\)準備(したく)が出來た...
石川啄木 「天鵞絨」
...雪の上に残されていたスキーの跡は、確かに二筋で、それは一人の人の滑った跡に違いなかった...
大阪圭吉 「寒の夜晴れ」
...鋭い刃物の創(きず)が二筋ほどえぐるように引ッ掻かれていた...
大阪圭吉 「銀座幽霊」
...道は二筋に分れていた...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...二筋三筋白髪のちかちかする鬢(びん)のところを撫でながら言った...
徳田秋声 「爛」
...八幡田圃(たんぼ)を北から南東に流るゝ大小二筋(ふたすじ)の田川がある...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...一筋二筋と糸のように残って聞えた虫の音も全く絶えてしまった...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...今戸橋をわたると広い道路は二筋に分れ...
永井荷風 「水のながれ」
...その河原の中を走る二筋のせせらぎを...
中里介山 「大菩薩峠」
...其遙かな粟が嶽の山腹から二筋の青い煙が立ち騰つて居る...
長塚節 「彌彦山」
...今朝は一帶にぼんやりと霧がかゝつて居るが此二筋の青い煙だけは極めてはつきりとして山よりも近く見える...
長塚節 「彌彦山」
...――路は分れて二筋となる」「左へ切ればここまで十哩(マイル)じゃ」と老人が物知り顔にいう...
夏目漱石 「薤露行」
...中々一筋縄(ひとすじなわ)でも二筋縄でも始末に行かぬ人物の巣窟(そうくつ)...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...そこのところが何とかうまく二筋道になっていれば...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...その二筋はそこで十文字に横ぎり合い...
柳田国男 「年中行事覚書」
...ひと筋縄や二筋縄で測られる“下腹ぶくれ”でないことがわかる...
吉川英治 「新書太閤記」
...二筋(ふたすじ)の道を見廻していると...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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