...あらゆる旧物を破壊して根底から新文明を創造しようとした井侯の徹底的政策の小気味よさは事毎に八方へ気兼(きがね)して※咀逡巡(しそしゅんじゅん)する今の政治家には見られない...
内田魯庵 「四十年前」
...彼は事毎(ことごと)に驚きを倍加して来たのであるが...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...陛下の銃と事毎に強調される小銃さえなくしていた...
田中英光 「さようなら」
...終に気力弛み生捕(いけどり)に合い候事毎々に御座候...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...ひいては会各部の活動に事毎に影響するところ大なるに鑑み...
戸坂潤 「〔付〕唯物論研究に就て(戸坂潤手記)」
...彼れが故後藤伯と事毎に衝突したりしも此れが爲めにして...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...事毎に能登守に楯を突こうというのも...
中里介山 「大菩薩峠」
...そこで仏頂寺弥助が、改めて兵馬の方に向って、「君、宇津木君、抜けがけをしちゃいかんよ、われわれとても、君の立場には同情し、どうか成功させて上げたいと、これでも、蔭になり、日向(ひなた)になって、相当苦心しているのだ、それを君が買ってくれないで、事毎に、われわれを出しぬくような真似(まね)ばかりされたんでは、われわれとしてもやりきれない、第一、われわれ亡者と違って、前途ある君の生涯をあやまらせたくないのだ」あんまり有難くは聞けない諫言立(かんげんだ)てを、聞いているのがばかばかしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...西と言い、東と言い、ひとしくこれ万世一系の聖天子の王土であるが、そこは凡夫の浅ましさ、事毎に、多少の対抗意識の現われることは、笑止千万と言わねばならないが、ことに笑止千万なる一つの実例は、この道庵と、お角とを、只(ただ)では京大阪の地を踏ませまいという、一味の通謀策略の如きであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...今病んでは事毎にまだ痛まなかつた昨日の事が思はれて心が動揺する...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...聞く事毎(ごと)にお政はかつ驚き...
二葉亭四迷 「浮雲」
...而(そう)して常は事毎に教師に抵抗して青年の意気の壮(さかん)なるに誇っていたのが...
二葉亭四迷 「平凡」
...彼女は事毎に私の...
牧野信一 「早春のひところ」
...直ちに家へ還った事毎々だったと...
南方熊楠 「十二支考」
...お婆さんは聞く事毎(ごと)に感心をして...
夢野久作 「白髪小僧」
...両親は聞く事毎に驚く事ばかりでした...
夢野久作 「白髪小僧」
...嘘か、見い! 米沢侯は、さすがに骨肉、赤穂の浪人共に、不穏な謀(たくら)みがあると聞けば、すぐこの身を思うて、白金(しろがね)の下屋敷へお匿(かくま)い申そうとか、米沢の本城へお越しあれとか、遙々(はるばる)、遠い国許から心を寄せて案じてくれるのに引換えて、その主君のことばを、いちいちヘシ折って、お匿(かくま)いも相成らぬ、米沢へお引取も以ての外と、事毎に、わしを危地へ曝(さら)すようにと、仕向けているのは、あの千坂兵部ではないか』『…………』『それはまだよい』声は、努めて平調にしているが、呼吸はあらくなっていた...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...いや、なかなかお手廻しのよいことですな」こういわれてみると、事毎に、疑う点は微塵(みじん)もないのである...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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