...乾き切らない土の中に脚を深く踏みこみながら...
有島武郎 「カインの末裔」
...乾ききった唇を大事そうに開け閉(た)てした...
有島武郎 「星座」
...雪消(ゆきげ)の路の泥濘(ぬかるみ)の処々乾きかゝつた上を...
石川啄木 「足跡」
...雲白く、秀でたる白根(しらね)が岳の頂に、四時の雪はありながら、田は乾き、畠は割れつつ、瓜の畠の葉も赤い...
泉鏡花 「瓜の涙」
...ぢつと座つてゐると気持よく乾き切つた空一杯に...
伊藤野枝 「惑ひ」
...寒い外気に触れて頬のまわりに乾きつく涙を...
近松秋江 「霜凍る宵」
...乾ききった冷たい空気が...
豊島与志雄 「反抗」
...乾き切った砂の中に埋れていた木簡は...
中谷宇吉郎 「『西遊記』の夢」
...血が乾きかけてから置いたなら...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...臺はまだ乾き切つてはゐなかつたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...生乾きの賽ころが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...なにもかもみな乾き...
久生十蘭 「金狼」
...カステラの部分が乾きすぎてゝ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...これを防ぐには山下の粘土を取り水にてよく泥に掻き立てその苗の上より水を灌(そそ)ぐがごとく漑(そそ)ぎ掛くれば泥ことごとく茎葉の上に乾き附いてあえて食う事なし...
南方熊楠 「十二支考」
...ある日麺包(パン)の乾きたるやあると...
森鴎外 「文づかひ」
...往来へ出ると乾ききった道に埃(ほこり)が舞いたっていた...
山本周五郎 「新潮記」
...乾ききッている木の葉がちりちり焼け出している...
吉川英治 「三国志」
...湯槽の縁から溢れ出る湯は同じくほがらかに日が當つて乾き切つてゐる流し場の一端に細い小波をたてゝ流れて行つてゐます...
若山牧水 「樹木とその葉」
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