...明放した二階の窓から向ひの氷屋の旗(フラフ)と乾き切つた瓦屋根と真白い綿を積み重ねた様な夏の雲とが見えた...
石川啄木 「氷屋の旗」
...「慾張ったから乾き切らない...
泉鏡花 「海異記」
...インキの乾きが遅いために吸取紙を使ふ必要のあることである...
谷崎潤一郎 「文房具漫談」
...寒い外気に触れて頬のまわりに乾きつく涙を...
近松秋江 「霜凍る宵」
......
鶴彬 「鶴彬全川柳」
...乾き切らない路は...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...乾ききっていたところへ...
中里介山 「大菩薩峠」
...土は乾き切つて既に二三寸に延びた麥は岡一杯に薄く緑青を塗つたやうである...
長塚節 「芋掘り」
...乾き切つた往來の上で尻尾が缺(か)けた...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...乾ききった雷鳴(かみなり)が...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...まだ乾き切らぬように...
水野葉舟 「帰途」
...見る間にまた乾ききって白埃(しらほこり)になってしまう...
水上滝太郎 「山の手の子」
...灰色に乾き曝(さら)されて...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...胸轟き、舌打ち乾き、呼吸(いき)も絶えなむばかりなり...
夢野久作 「白くれない」
...空気は乾ききっている...
吉川英治 「新書太閤記」
...汗が乾きかけると...
吉川英治 「新書太閤記」
...「わしはの……」と高綱は唇の乾きを舐(な)めずりしていう...
吉川英治 「親鸞」
...ゆきゆけどいまだ迫らぬこの谷の峡間(はざま)の紅葉時過ぎにけりこの谷の峡間を広み見えてをる四方の峰々冬寂びにけり岩山のいただきかけてあらはなる冬のすがたぞ親しかりける泥草鞋踏み入れて其処に酒をわかすこの国の囲炉裏なつかしきかなとろとろと榾火(ほだび)燃えつつわが寒き草鞋の泥の乾き来るなり居酒屋の榾火のけむり出でてゆく軒端に冬の山晴れて見ゆとある居酒屋で梓山村に帰りがけの爺さんと一緒になり...
若山牧水 「木枯紀行」
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