...真夏などは暫時(しばらく)の汐の絶間(たえま)にも乾き果てる...
泉鏡花 「海の使者」
...白く乾き切った道が...
伊藤野枝 「転機」
...ぢつと座つてゐると気持よく乾き切つた空一杯に...
伊藤野枝 「惑ひ」
...其皮の上、横にして、劔(つるぎ)を拔きて鋭き矢股より斷ちて、流れづる黒き血潮をあつき湯に 845拭ひつ、やがて其上に苦(にが)き草根、くるしみを留むるものを施せば、ユウリュピュロスの一切の苦惱は去りぬ、疵口は乾きぬ、血潮とどまりぬ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...死亡者誰々――門前に貼り出された紙片に墨汁が乾きむしりとられた蓮の花片が...
峠三吉 「原爆詩集」
...乾ききっている吾々の前へ出しておくのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...乾きすぎたせゐか...
中島敦 「かめれおん日記」
...なんだか父親の映像が気になりだすと一歩二歩歩みだすばかりです深夜の思ひこれは泡立つカルシウムの乾きゆく急速な――頑ぜない女の児の泣声だ...
中原中也 「山羊の歌」
...そのぼけ方は前の墨の乾き工合...
中谷宇吉郎 「硯と墨」
...乾ききつた大地を濡らしました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...日の暮れたのも知らずに居ましたよ」「着物の乾きが早過ぎて困つたらう」「へツ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...いくらか爪先(つまさき)あがりの道はやっぱり白く乾き...
本庄陸男 「石狩川」
...乾き上がると、今度はその上へ上等の鳥の子を貼った...
正岡容 「小説 圓朝」
...地面はすっかり乾き固っていた...
松本泰 「P丘の殺人事件」
...乾き切った巨大な真空帯が生じ...
吉川英治 「私本太平記」
...あとで人様から告げられて、さては、そういうことだったかと思い合せ、いまは良人の身ひとつに限らず、どうか御家臣御一統さま、すべてが、よい御処置をあそばすように、それだけを祈っているだけでございまする」しかし――そうは答えても、決して心は平静であり得なかった証拠には、もう乾きぬいて、風にも剥(は)がれかけている貼板(はりいた)の物を――さすがに彼女も二晩ほど仕舞い忘れていた...
吉川英治 「日本名婦伝」
...洗濯物が乾きましたから持ってまいりました」と...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ゆきゆけどいまだ迫らぬこの谷の峡間(はざま)の紅葉時過ぎにけりこの谷の峡間を広み見えてをる四方の峰々冬寂びにけり岩山のいただきかけてあらはなる冬のすがたぞ親しかりける泥草鞋踏み入れて其処に酒をわかすこの国の囲炉裏なつかしきかなとろとろと榾火(ほだび)燃えつつわが寒き草鞋の泥の乾き来るなり居酒屋の榾火のけむり出でてゆく軒端に冬の山晴れて見ゆとある居酒屋で梓山村に帰りがけの爺さんと一緒になり...
若山牧水 「木枯紀行」
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