...鉄骨造の建物の中には、中空階段が設けられているものもあります...
...中空に垂れた北斗の星が...
芥川龍之介 「杜子春」
...あたかも五彩の絹を中空に吹き靡(なび)かしたごとく...
泉鏡花 「婦系図」
...道中空前の大雜誌が出ることなどは思ひ出すものもなかつたのである...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...腕も頭も中空(なかぞら)に失せる...
レミ・ドゥ・グルモン Remy de Gourmont 上田敏訳 「さしあげた腕」
...まつ青(さを)なまたの半(なかば)は中空(なかぞら)の雲をゆすぶる...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...その中間に住した河上の老人とともに中空にいるものであるから...
岡倉覚三 村岡博訳 「茶の本」
...それらに君臨して螺旋(らせん)すべりの塔が高く中空を抜いて...
谷譲次 「踊る地平線」
...そして葉の落ちた無花果(いちじく)の木がその奇怪にこみ入つた枝をまだ明みの多少残つてゐる中空に張つてゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...吹くや東の夕あらし寄するや西の雲の波かの中空に集りてしばしは共に言もなしふたつ再び別るとき「秘密」と彼も叫ぶらむ...
土井晩翠 「天地有情」
...それがやはり中空に聳えて...
豊島与志雄 「古木」
...羊角に中空を押廻り...
中里介山 「大菩薩峠」
...薬を粉にしペースト状に練り中空の茎の周りに広げる...
マクス・ノイバーガー Max Neuburger 水上茂樹訳 「医学の歴史」
...『源氏物語』の中の花散る里――柳亭種彦(りゅうていたねひこ)の『田舎源氏』では中空(なかぞら)のような...
長谷川時雨 「鉄くそぶとり」
...大阪の煙霞及ばず中空に金剛山の浮かぶ初夏六甲山上から大阪の空を眺めた景色...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...巨大な中空歯根(しこん)を健康な歯肉(しにく)に差したような場所だ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「幽霊島」
...中空に蒼白い顏を向けた...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...ぐんぐん中空にのぼつて行つた...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...風船にひつぱられて 小鳥は中空たかくのぼつていつた風船はくるめく日傘をまはし あたたかな銀の雨を降らした小鳥はむしやうにうれしくなり 力いつぱいそのすずを鳴らしたそれにしても風船にのれない重たい心――ぼくは丘のクツサンの中でじたばたするあばらに生えた青麦の芽をむしりながら...
森川義信 「春」
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