...鉄骨造の建物の中には、中空階段が設けられているものもあります...
...何時(いつ)か又中空へ遠のいて行つた...
芥川龍之介 「お富の貞操」
...中空(ちゅうくう)の三日月...
芥川龍之介 「少年」
...紅の細き滝支ふる雲なき中空より逆(さかさ)におちて風に揺(ゆ)らるる趣(おもむき)見え...
泉鏡花 「凱旋祭」
...中空(なかぞら)の雲一ぱいに白い光が掠(かす)めゆく……ああ...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...地上や中空にかなり強い風が吹いていて...
梅崎春生 「狂い凧」
...とにかく、二人は山科谷に彷徨(ほうこう)して、京へ直入の足は甚(はなは)だ怪しくなっているのですが、その間にも、例の、宮さん宮さんお馬の前のピカピカ光るは何じゃいなあれは朝敵征伐せよとの錦の御旗じゃないかいなトコトンヤレトンヤレナの軍歌は、いよいよ明亮(めいりょう)を極めて、絶えず、前から襲って来たものですから、米友もつい、そのリズムに捲き込まれて、いい気になってしまい、歩調までが勇み足になった上に、トコトンヤレトンヤレナと伴奏しはじめたかと見ると、興に乗じたか、提灯を地面に置いて、自分は道のまんなかに踏みはだかり、手にした例の振杖ではない杖槍を取って、中空に投げ上げ、それが落ちかかるやつを手早く取って受けては、またクルリと中空へ投げ上げる、右へ泳ぐのを左で受けたり、左へ流れるのを右で受けたりして、合(あい)の口拍子には、トコトンヤレトンヤレナとはしゃいでいる...
中里介山 「大菩薩峠」
...青雲の向か伏す中空(なかぞら)の...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...途中空知のぼんもじりより沛然たる雨で...
林芙美子 「摩周湖紀行」
...ある時刻ある朝ある時刻に中空の梢からひらひらと小さな木の葉は舞ひ落ちてゐた...
原民喜 「ある時刻」
...薄く曇つた中空に...
原民喜 「永遠のみどり」
...漆を塗ったるがごとき南方藍(あい)の中空(なかぞら)めがけて...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...台脚は中空金属だった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...もうひとつの閃火(フラッシュ)は約三百呎高い夜空の中空に眺められたのだ...
牧逸馬 「沈黙の水平線」
...やがて中空に浮んで大うねりを漂はせながら一列に並んでしまふ...
牧野信一 「鱗雲」
...天才またはキチガイが中空に向って歌を歌うのとは...
三好十郎 「恐怖の季節」
...真黒なる粉ひき車の輪中空(なかぞら)にそびえ...
森鴎外 「文づかい」
...童児があの中空の声を聴いて...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...小空、中空、大空、空空、無空、というような言葉は、徹底するとついに天上天下唯我独存、(尊ではない)存すというところに落ちつくのも、菅井和尚の釈迦堂の釈尊の首一個の存在がよく語っているようだ...
横光利一 「夜の靴」
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