...元(もと)より文壇不遇の士の黄白(くわうはく)に裕(ゆたか)なる筈なければ...
芥川龍之介 「骨董羹」
...長い間不遇の境地に鬪つて來た人といふ趣きが何處かにあつた...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...一七一二年に不遇のうちに亡くなったのでした...
石原純 「ジェームズ・ワット」
...木歩の不遇の生涯はその死後の一時期において...
心猿 「九月朔日」
...時に於てか不遇のために失敗に出会うことは免(まぬか)れぬ...
大隈重信 「現代学生立身方法」
...不遇のうちに不平で死んでいる...
丘浅次郎 「人間生活の矛盾」
...当時の諸星が皆不遇のうちに空しく材能を抱いて落ちて行ったのだ...
中里介山 「生前身後の事」
...いま不遇の地位にいるのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...且つそれが幾分か不遇の主人をなぐさめる所以(ゆえん)になるだろうと思っていたところが...
中里介山 「大菩薩峠」
...独創の気というものは不遇の茨(いばら)の中から開けるものだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...幼時から不遇の地位にあって人の心の裏ばかりを覗いて来たせいか...
中島敦 「盈虚」
...フーラー教授はいわば不遇のうちに亡くなったわけである...
中谷宇吉郎 「アラスカ通信」
...三十五歳で不遇のうちに死んだモーツァルトの遺産が...
野村胡堂 「楽聖物語」
...京水の轗軻不遇の境界をおもひ遣つて...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...不遇の裡に早世した偉大な人物ラ・ボエシの頌徳の辞であって...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...不遇のまゝ終つたらうか...
吉川英治 「折々の記」
...平家二十年の栄花もつかのま、重盛は逝き、相国清盛もようやく老い、福原開港の業成って、日宋交流の途が開かれたよろこびも、一面、不遇の源氏党や、飢餓疫病の年々に苦しむ衆民のよろこびとはならず、治承四年、以仁王を盟主とする源三位頼政らの宇治川合戦を口火として、平家を討たんの声は、澎湃(ほうはい)として、諸国三道の合言葉となった...
吉川英治 「随筆 新平家」
...不遇の闇に生涯を送らなければなるまい...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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