...長い間不遇の境地に鬪つて來た人といふ趣きが何處かにあつた...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...忠敬の幼時は言わば不遇の境地に置かれていたのでしたが...
石原純 「伊能忠敬」
...たとえ不遇のうちに歿したとしても...
石原純 「グレゴール・メンデル」
...木歩の不遇の生涯はその死後の一時期において...
心猿 「九月朔日」
...江戸の作者の伝統を引いた最後の一人たる緑雨の作は過渡期の驕児(きょうじ)の不遇の悶えとして存在の理由がある...
内田魯庵 「斎藤緑雨」
...実際轗軻(かんか)不遇の士...
江見水蔭 「死剣と生縄」
...不遇のうちに不平で死んでいる...
丘浅次郎 「人間生活の矛盾」
...はなはだ不遇のように見える...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...世に容(い)れられない不遇の詩人のやうに徒(いたづ)らに苛々(いら/\)した...
相馬泰三 「新らしき祖先」
...物質の概念は久しく不遇の位置に置かれていた*...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...且つそれが幾分か不遇の主人をなぐさめる所以(ゆえん)になるだろうと思っていたところが...
中里介山 「大菩薩峠」
...不遇の遊魂を慰めるために...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかし不遇の角行燈子が...
中里介山 「大菩薩峠」
...所有(あらゆる)不幸不遇の人をも吸収して...
福田英子 「妾の半生涯」
...大真打のところへ暑寒の挨拶になんぞ行かないとふんぞり返って威張っている不遇の落語家さんがある...
正岡容 「寄席」
...京水の轗軻不遇の境界をおもひ遣つて...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...不遇の裡に早世した偉大な人物ラ・ボエシの頌徳の辞であって...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...平家二十年の栄花もつかのま、重盛は逝き、相国清盛もようやく老い、福原開港の業成って、日宋交流の途が開かれたよろこびも、一面、不遇の源氏党や、飢餓疫病の年々に苦しむ衆民のよろこびとはならず、治承四年、以仁王を盟主とする源三位頼政らの宇治川合戦を口火として、平家を討たんの声は、澎湃(ほうはい)として、諸国三道の合言葉となった...
吉川英治 「随筆 新平家」
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