...眼界の不透明な(と渠は考へられる)友人を厭な蛇だと思つた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...時々起きる理由のない不透明な不安も...
梅崎春生 「黄色い日日」
...なぜかその返答には不透明なものが交っているように思われた...
海野十三 「地獄の使者」
...不透明な物体のこちらから...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...しかし最近の二日間が小春日和(こはるびより)のようにたいへん暖かかったので氷は水の暗緑色と底とを示した透明さをうしなって不透明な白味がかった灰色となり...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...氷球は全部透明なものもあるが内部に不透明な部分や気泡を含んでいるものもある...
寺田寅彦 「凍雨と雨氷」
...もしそこに何等かの不透明な不純物が充満しているなら...
戸坂潤 「認識論とは何か」
...あるいは遠い穴からわずかの明りがその不透明な靄(もや)の中に漂ってるのか...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...稍不透明な空氣は尚針の尖でつゝくやうに其白い一點を際立つて眼に映ぜしめる...
長塚節 「芋掘り」
...要するにそう云う事は理論上あり得るんだね」余のごとき頭脳不透明なるものは理窟(りくつ)を承(うけたま)わるより結論だけ呑み込んで置く方が簡便である...
夏目漱石 「琴のそら音」
...彼の頭脳の不透明なる事はここにも著るしくあらわれている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...富士を見ろ富士山を見ろ北斎(ほくさい)の描いたかつてのお前の姿の中に若々しいお前の火花を見たけれど今は老い朽ちた土まんじゅうギロギロした眼をいつも空にむけているお前なぜ不透明な雪の中に逃避しているのだ烏よ風よあの白々とさえかえった富士山の肩を叩いてやれあれは銀の城ではない不幸のひそむ雪の大悲殿だ富士山よ!お前に頭をさげない女がここにひとり立っているお前を嘲笑(ちょうしょう)している女がここにいる...
林芙美子 「新版 放浪記」
......
林芙美子 「放浪記(初出)」
...それがまるで牛乳みたいに不透明な色をした窓硝子を持つてゐる故であるのに氣づかなければならぬ...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から」
...不透明な視界は、いよいよ墨汁色に塗りたくられた...
本庄陸男 「石狩川」
...何んだか絶えず不透明なものを仰ぎ見るような眼付をしていた...
室生犀星 「後の日の童子」
...いいですか?」不透明な飴いろの革の感触が...
山川方夫 「その一年」
...透明なのや不透明な...
山本周五郎 「山彦乙女」
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