...不用意に歩き出そうとした葉子は...
有島武郎 「或る女」
...家の前はすぐ深山になっていて不用意には探せない...
田中貢太郎 「美女を盗む鬼神」
...ただ不用意にあの鍵をあんな風に落しておいたとは考えられない...
谷崎潤一郎 「鍵」
...不用意に思い出してはポツポツとお話しなすったのであるから...
田村松魚 「幕末維新懐古談」
...それは主として考えかたの不用意によるものである...
津田左右吉 「日本精神について」
...不用意に、範疇が概念であると云う時、それはなお存在論的とも認識論的とも考えられる余地があるわけである(この混雑は恐らく概念が一切のものを自らの内に含み得る能力、云わば平均性 Nivellierung を持っていることから起こるであろう)...
戸坂潤 「範疇としての空間に就いて」
...」不用意に発した言葉に看護婦も自分でまごついて...
豊島与志雄 「好意」
...「これだッ」「――――」「不用意に壁へ物を書く時は...
野村胡堂 「女記者の役割」
...不用意に開いてゐた右眼に...
北條民雄 「外に出た友」
...これ全く立法者の不用意に起因するものと言わねばならぬ...
穂積陳重 「法窓夜話」
...また演者の生活や好みの一断片がチラと不用意に覗かれる...
正岡容 「我が圓朝研究」
...そして不用意に古言を用いることを嫌う...
森鴎外 「空車」
...これでは不用意に話しもできないし...
山本周五郎 「似而非物語」
...どんなばあいでも不用意に云い返すようなことは決してしなかった...
山本周五郎 「花も刀も」
...翁は上機嫌なままに大事な口伝や秘伝を不用意に洩らすことがあった...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...或いはすでに搦手(からめて)から逃散したかもしれぬぞ」兵はみな不用意に城壁へつかまり...
吉川英治 「三国志」
...そして不用意に駈けて来る市松へ向って...
吉川英治 「新書太閤記」
...不用意に闘って感得した敵とはまるでその体(たい)が違う...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索