...不用意に兄に顔を合せることを避けていますが...
橘外男 「仁王門」
...苟(いやし)くも大名の北の方でありながら、酔餘の戯れに生きた人間の耳へ刀で穴を開けると云うようなことは、不用意に聞くと、全くその人の徳を傷け、美しい性格に暗影を投げる事件である...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...靴底の縁を誰かが不用意に擦ったためにできた痕だ...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「ボヘミアの醜聞」
...不用意にも、ちょうど彼は財布が少し心細かった...
徳田秋声 「仮装人物」
...一つは一切の批評は印象から出発するという根本事実をそういう言葉でやや不用意に云い表わすものである...
戸坂潤 「所謂批評の「科学性」についての考察」
...親しい者にも話せないようなことまで不用意に打明ける...
豊島与志雄 「待つ者」
...先方はつまり、習い覚えた正当の格によって応戦して来たのを、こちらが無茶に、不用意に、近づいたから不覚を取ったものに違いない...
中里介山 「大菩薩峠」
...不用意に莞爾(にっこり)すると...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...不用意に近づいたばかりに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...反対にもし不用意に五十四歳とこたえれば彼が詐病者であることを示すわけです...
久生十蘭 「ハムレット」
...不用意にも写しも取って置かず...
前田多門 「「人間宣言」のうちそと」
...割に不用意にヒョイともらした片言や小文章の中に...
三好十郎 「清水幾太郎さんへの手紙」
...不用意に自分の書いた手紙を落とすようなことをしたら...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...不用意に残された仔指(こゆび)らしい指紋の断片とを...
夢野久作 「一足お先に」
...瀬尾が泣いてる」ひとりが不用意に笑ったが...
吉川英治 「新書太閤記」
...生(いき)うつしでございますよ」不用意に...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...不用意に闘って感得した敵とはまるでその体(たい)が違う...
吉川英治 「宮本武蔵」
...自分が在来不用意に作っていた禅宗の概念を崩れさせるに十分であった...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
便利!手書き漢字入力検索