...「実をいうと不用意な不覚なはなしだが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...たしかに私にも不用意な點があつて...
太宰治 「當選の日」
...彼女もまさかに彼女の不用意な一言が...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...しっきりなしに不気味に揺れている一つの戸口(ドア)を発見してぎょっと――その最も不用意な瞬間に――することであろう...
谷譲次 「踊る地平線」
...戦後の種々の不用意な施設と思慮の足らぬ言論とが更に別のしかたでそれを破壊しようとしたが...
津田左右吉 「歴史の学に於ける「人」の回復」
...時々はもう少し不用意な...
寺田寅彦 「宇都野さんの歌」
...周囲のアメリカン・シチズンスの不用意な表情姿態の上に反映したフーヴァーのほうがはるかに多くフーヴァーその人を物語るのである...
寺田寅彦 「映画時代」
...不用意な葉子の雑誌や書物や原稿の散らかったあたりに...
徳田秋声 「仮装人物」
...不用意な襲い方をして...
直木三十五 「南国太平記」
...黄昏に降りた不用意な旅人のために...
林芙美子 「摩周湖紀行」
...どうしてこんな不用意なことをいいだすのかとわたしはむしろ当惑して相手の顔を見ていますと...
久生十蘭 「ハムレット」
...愚かな伝統を尊重――と云ふより寧ろ単なる不用意な考察で――それで私の名前なるものが制定される...
牧野信一 「痴想」
...咄嗟(とっさ)では貝ノ馬介は子供のような不用意な声でいった...
室生犀星 「舌を噛み切った女」
...そうなればこんな不用意な口をきくまいと思われたからである...
室生犀星 「童子」
...ロダンの不用意な問は幸にも此腹藁を破つてしまつた...
森鴎外 「花子」
...老刑事が私を容易に犯人扱いにしようとしないのは、証拠が不十分なままに私を的確な犯人と睨んでいる証拠である……だから何とかして私を狼狽(ろうばい)さして、不用意な、取り返しの付かないボロを出さしておいてから、ピッタリ押え付けようとこころみている、この刑事一流の未練な駈け引きであることが、よくわかった...
夢野久作 「冗談に殺す」
...冗談半分にいってるんじゃないか」と不用意な言を放った...
吉川英治 「三国志」
...不用意な過ちを冒しているのは...
吉川英治 「忘れ残りの記」
便利!手書き漢字入力検索