...そうしてまたその上に不用意な愛によつて子供と云ふ重荷を負はねばならなかつた...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...しっきりなしに不気味に揺れている一つの戸口(ドア)を発見してぎょっと――その最も不用意な瞬間に――することであろう...
谷譲次 「踊る地平線」
...私はK君との交渉に於て、人間の交際は深入するものでないことを教へられた(親友の場合は特別だ、深入するほど親密なのだ)、浅く交れ――かう事実が教へる、また、かういふ事も知つた、不用意な言行が、時として、どんなに葛藤をひきおこすものであるかを、――つゝましくあれ...
種田山頭火 「其中日記」
...読者に対して著者の往々不用意な見解を押しつけずにすむという事...
戸坂潤 「読書法」
...殺さるゝものは不用意なり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...どんなことがあってもそんな不用意な言いかたはしない...
久生十蘭 「だいこん」
...夫のギルレイは不用意なことがよくありました...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「ギルレイ」
...小賢しい焦慮もその不用意な胸や頭を醜く...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...そうなればこんな不用意な口をきくまいと思われたからである...
室生犀星 「童子」
...ロダンの不用意な問は幸(さいわい)にもこの腹藁(ふっこう)を破ってしまった...
森鴎外 「花子」
...それでも不用意なる少年の語の中には...
柳田国男 「山の人生」
...ショコラの軽い舌触りも不用意な久慈の質問で味なく終ろうとしかかったときである...
横光利一 「旅愁」
...むしろ千鶴子より塩野の祝賀の宴を強く射る失礼な結果となっていることに気がついて不用意な失言を...
横光利一 「旅愁」
...冗談半分にいってるんじゃないか」と不用意な言を放った...
吉川英治 「三国志」
...不用意なじぶんの行動が後悔されてきた...
吉川英治 「神州天馬侠」
...不用意なる能をお目にかけなどしたは...
吉川英治 「新書太閤記」
...前に「親鸞」を社命で書いたのを不用意な偶然のように申しましたが...
吉川英治 「親鸞の水脈」
...不用意な言とはいえない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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