...しっきりなしに不気味に揺れている一つの戸口(ドア)を発見してぎょっと――その最も不用意な瞬間に――することであろう...
谷譲次 「踊る地平線」
...戦後の種々の不用意な施設と思慮の足らぬ言論とが更に別のしかたでそれを破壊しようとしたが...
津田左右吉 「歴史の学に於ける「人」の回復」
...周囲のアメリカン・シチズンスの不用意な表情姿態の上に反映したフーヴァーのほうがはるかに多くフーヴァーその人を物語るのである...
寺田寅彦 「映画時代」
...ドイツ語の新刊書を有難がってはいない不用意な私は...
戸坂潤 「読書法」
...読者に対して著者の往々不用意な見解を押しつけずにすむという事...
戸坂潤 「読書法」
...久能は不用意な卑屈さで頭をさげていた...
豊田三郎 「リラの手紙」
...不用意な襲い方をして...
直木三十五 「南国太平記」
...黄昏に降りた不用意な旅人のために...
林芙美子 「摩周湖紀行」
...ただ不用意な言葉だけで十分なのです...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「流刑地で」
...これまでにあとから訂正したくなるような不用意な文句を書いたことは屡ある...
平林初之輔 「中西氏に答う」
...小賢しい焦慮もその不用意な胸や頭を醜く...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...たしかに不用意なキヤンプ的生活見たいなものだ...
牧野信一 「断唱」
...愚かな伝統を尊重――と云ふより寧ろ単なる不用意な考察で――それで私の名前なるものが制定される...
牧野信一 「痴想」
...セウェルス・カッシウスは不用意な時ほど雄弁であり...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...老刑事が私を容易に犯人扱いにしようとしないのは、証拠が不十分なままに私を的確な犯人と睨んでいる証拠である……だから何とかして私を狼狽(ろうばい)さして、不用意な、取り返しの付かないボロを出さしておいてから、ピッタリ押え付けようとこころみている、この刑事一流の未練な駈け引きであることが、よくわかった...
夢野久作 「冗談に殺す」
...冗談半分にいってるんじゃないか」と不用意な言を放った...
吉川英治 「三国志」
...前に「親鸞」を社命で書いたのを不用意な偶然のように申しましたが...
吉川英治 「親鸞の水脈」
...かつ早婚や不用意な結婚を彼らの間で減少せしめるために...
デイヴィド・リカアドウ David Ricardo 吉田秀夫訳 「経済学及び課税の諸原理」
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