...けれども、午後になって遥かな舷(ふなべり)の前方に、虹のように見事な潮を吹き続ける鯨群をみつけると、今まで無方針を押通した東屋氏の態度がガラリと変って、不意に隼丸は、ひとつの固定した進路に就くのだった...
大阪圭吉 「動かぬ鯨群」
...全然あてにしていないその空白の時をねらって、不意に来る...
太宰治 「正義と微笑」
...不意に静かな楽しそうなほほえみを漏らした...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...」と彼女は云いすてて、不意に立上った...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...この豪傑が不意に現われて...
中里介山 「大菩薩峠」
...自分の手の届かない暗中から不意に来たものを...
夏目漱石 「明暗」
...ことによると……」不意にこう感づいた彼の前に...
夏目漱石 「明暗」
...背後から不意に首を紋められて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...不意に対手の頭を擲ろうとする衝動が起り...
萩原朔太郎 「僕の孤独癖について」
...また不意に眼を開き...
久生十蘭 「魔都」
...不意に口をきゝました...
宮原晃一郎 「夢の国」
...いけないんだ」不意に夫がいい...
山川方夫 「あるドライブ」
...不意にキリキリと疼(いた)み出したので...
夢野久作 「一足お先に」
...不意に千鶴子より先に日本へ帰っているところを想像したりしているうちに...
横光利一 「旅愁」
...不意にこんな緑色の青葉が見えたのはどうしたのか?‥‥彼女も初めは驚いた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...おかしな挙動を――と、伝吉は行き過ぎた足を戻して、不意に、「もし、煙草の火を一ツお貸し下さいませんか」素知らぬ振りを努めている男の前から、笠の下を覗き加減にして煙管を出した...
吉川英治 「剣難女難」
...で、ご機嫌の変らぬうちに、よろしく下山をすすめようと思っていると、不意に、森々(しんしん)とした空気を破って、「山番ッ、山番ッ、山番はいねえか――」とはるかな上で、絶叫するものがあった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...逃げるかと見て、追いかけると、不意に、一転して立ちなおった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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