...これを落としてはと、疼痛を怺(こら)えながら拾おうとすると、不思議なことに、その光杖が生き物のように宙をひとりでスーッと走りだした...
海野十三 「地球盗難」
...その結果を簡単に記すと、不思議なことに、屋内の滑かな物の表面は、悉く布様のもので拭き取った形跡があり、指紋らしいものはどこにも発見されなかったが、ただ一つ、流石にここだけは拭き忘れたのか、便所の中の白い陶器の表面に、幾つかの指紋が検出された...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...だが、不思議なことに、私はそれを少しもおかしいとは感じなかった...
江戸川乱歩 「押絵と旅する男」
...不思議なことにしゃれた服を着ているのは浜田ぐらいで...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...いまは不思議なことにアメリカ風の酒場(サルーン)で通つていて...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「手早い奴」
...また不思議なことには...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...ところが不思議なことに...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...が不思議なことには...
豊島与志雄 「黒点」
...不思議なことには...
豊島与志雄 「死の前後」
...不思議なことには...
豊島与志雄 「初秋海浜記」
...「チェッ、勝手にしやがれ」度胸を据えてドッカと坐ると、不思議なことに、床板のあちこちから、大きく小さく、下の大広間の灯が漏れております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...不思議なことに錢形平次の文身(ほりもの)は一寸當てました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「不思議なことに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...芝居へ出て来る先代萩(せんだいはぎ)の千松のように、袂(たもと)の長い絹物の紋付を着て、頭も顔もお稚児(ちご)さんのように綺麗になっていましたが、不思議なことに、袴(はかま)の裾(すそ)はぼけて、足は見えませんでした」お北は気象者でも、迷信でこり固まった江戸娘でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...戸棚の上には、蓋(ふた)の無い古お重が一つ、その外側には、たつた一ヶ所指の跡が附いて居りますが、不思議なことに、お重箱の中には一面に埃(ほこり)が附いて、今朝まで物を入れて居た跡などはなかつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「脅かすわけぢやないが――成程さう言はれて見ると、火元の半分は寺だ」「あとの半分は武家屋敷と町家だが、不思議なことに、火事の晩といふと法事をしてゐる」「そいつはどういふわけだ、八」「切支丹(きりしたん)ぢやありませんか、親分」「――」八五郎の想像は飛躍しますが、まんざらそれは根も葉もないことではありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そして不思議なことには三度とも遠い廊下に聞える別な足音で君子は救われた...
山本禾太郎 「抱茗荷の説」
...不思議なことには...
横光利一 「旅愁」
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