...第一こんな不安定な状態からあなたは愛子さんや貞世さんを救う義務があると思いますよ僕は...
有島武郎 「或る女」
...どうしてもそうした不安定な過渡期(かとき)をとるのだと黒木博士が説明してくれたが...
海野十三 「脳の中の麗人」
...それは自分の望みがいたる所で達しがたいと思はれる時の不安定な...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...ややもすると惑星のように輝く目に何か不安定な感じを与えもして...
徳田秋声 「仮装人物」
...絶えず不安定な気分で迷つてゐた荒廃その物のやうな貧弱な家が...
徳田秋聲 「余震の一夜」
...実は之ほど不安定な存在はない...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...自分の不安定な映像を...
豊島与志雄 「蔵の二階」
...ドイツの音楽家にして、率直で信実であればあるほど、ますます彼が示すところのものは、ドイツ魂の弱点であって、不安定な根底、柔惰な多感性、率直さの欠乏、多少狡猾(こうかつ)な理想主義、自己を見、あえて自己を正視することの不可能、などであった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...何んとなく不安定な恰好になっているのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...不安定な眼差(まなざし)で...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...一切のぐらぐらした不安定な面影が消えうせたのである...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...港湾労働者として多少不安定な暮しをしていた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...流行も習慣になるまでは不安定な力に過ぎない...
三木清 「人生論ノート」
...ランターンのちらつく不安定な灯かげの輪のなかに照らし出されて来る...
宮本百合子 「女靴の跡」
...けれども我々の気分や思想は本来不安定なものであるから...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...自分が「律義之助」といわれるくらい、じみで慎重な性分のせいか、八束の俊敏な才があざやかな綱渡りを見るような、不安定な、危険なものに思われた...
山本周五郎 「竹柏記」
...たとい相手がヘッド・ライトを消さなかったにしてもコースの不安定な自転車ならばイザ知らず...
夢野久作 「衝突心理」
...鋭く不安定なうつろな圧迫だった...
横光利一 「旅愁」
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