...――万事はこの不可思議なる「通用」の上に懸っている...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...冬の光は冲天に流れて池面は数日来じめじめ淀んでゐるアカホの木は一つ古木ゆゑに杖のやうに気根をたよりその南の枝に烏は一羽 未だ地上に達しない光を貪ってゐる烏は ただ 黙々と村人たちの悲しい迷信の上に不可思議な運命をまじなひ樹下にたじろぐ二人三人の村人は木梢にうそぶく彼の運命の声に胸をおさへてゐるこのアカホの木に烏がなけば...
泉芳朗 「アカホの木」
...あるいは不可思議なる天の摂理(せつり)であったか...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...下は一めんに不可思議なパノラマ――すべての王国と共和国と財宝と野心と光栄と...
谷譲次 「踊る地平線」
...ただからだに襲いかかる不可思議な威力の圧迫に恐れおののきながら...
寺田寅彦 「子猫」
...クリストフはある不可思議な害悪に侵されてる部分にはいった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...何か不可思議なものがひそんでいる予覚がある...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...或はまた不可思議な自然の謎を解くための鍵のやうにも思つて居た...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...この不可思議な出来事を目撃するとすぐその足で幸田節三の妾宅へ飛んで行き事細かにありし次第を耳打ちした...
久生十蘭 「魔都」
...この正教の国にあつたくさぐさの不可思議な出来ごとだのの物語で...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...もしこの学問が不可思議な滲透によって我々のうちにしみ入るのでなければ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...神が宿るとは如何に不可思議な真理であらう...
柳宗悦 「雑器の美」
...極めて不可思議な恐ろしい真相の告白である...
夢野久作 「冗談に殺す」
...何という不可思議な作用であろう...
夢野久作 「暗黒公使」
...立証も実験もし得なかった脳髄の不可思議な機能を鏡にかけて見るように明白にされたのです...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...こんな深刻不可思議な事件を...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...形容の出来ない不可思議な...
夢野久作 「一足お先に」
...その不可思議な事実を見まわしてしまった...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索