...巨勢(こせ)の金岡(かなおか)もあります、光長も、信実(のぶざね)もあります、土佐もあります、雪舟(せっしゅう)、周文、三阿弥(あみ)、それから狩野家にも古法眼(こほうげん)があります、その後に於ても探幽があり、応挙があり……」「そりゃ、もとより異論もあるだろう、永徳の日本一は、秀吉の日本一のような相場にはなっていないが、拙者は狩野永徳が日本に於て最大の画家であり、古今独歩の名人であることを信じて疑いません――まあ、お聴きなさい、拙者だって、意地でそんなことを言うわけではありません、今日まで、拙者の見たところ、測ったところを論拠として、それを言うのです...
中里介山 「大菩薩峠」
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