...万一の時にはあの時嵯峨(さが)に一緒に参った友人を証人にして...
田山花袋 「蒲団」
...万一の時はその繩(なは)で彼を引上げるつもりで...
豊島与志雄 「金の猫の鬼」
...主を、主の筋に当る人を呪っている牧の倅として、万一の時に、調所の手で適当な処置を取って貰おうとする、仲太郎の親心からであった...
直木三十五 「南国太平記」
...万一の時には、知らせるがよい...
直木三十五 「南国太平記」
...しないでも――万一の時には...
直木三十五 「南国太平記」
...そして(万一の時には...
直木三十五 「南国太平記」
...万一の時は身を殺してもと思っているのですけれども...
中里介山 「大菩薩峠」
...「まあ、そんなに気を揉(も)みなさんなよ、色男、金と力は無かりけりてのは昔のこと、今時の色男は、金も力もあるというところをお目にかけてやりてえんだよ」と、がんりきが甘ったるい返事――そのうち二人は、道中記を調べて、お蘭どのが先へ行って、待合わすべき宿屋をきめて置いて、万一の時は、その旅宿も目じるしをつけて置いて先発し、がんりきの百は、これからまた飛騨の高山へ逆戻りして、和泉屋の福松のところへ預けて置いた三百両を取戻して、お蘭どのに見せてやるべく、その翌日早朝に、寝物語の宿を立ち出でてしまったのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...万一の時に差支(さしつか)えないようにしなくっちゃいけない...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...万一の時の用意に持っていちゃ悪いか」鉄は事ごとに逆(さか)ねじを喰わせます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...万一の時はあの人が頼みになりそうだ――ってね」それを聴きながら平次は黙って考え込んでしまいました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――屋久島は医者のないところで心細いのだが、万一の時には、電報を打つから屋久島へ診(み)に来て貰へないだらうかと、富岡が話すと、どんな事があつても行きませうと云つてくれた...
林芙美子 「浮雲」
...私も万一の時のことを寝たまま考へてみた...
原民喜 「廃墟から」
...――万一の時、俺一人で世話はやき切れねえからなあ」「そうともよ、皆さ計って見べ」清助は、大力な、髭むじゃな、字の読めない正直な金持の百姓であった...
宮本百合子 「秋の反射」
...父が自分の老齢を気付かっての万一の時の用意と思われる...
矢田津世子 「父」
...すでに、ここまでの間に、先生(せんじょう)金右衛門はあのとおりな始末で、駒木野番所から江戸表へ差立ててあるので、幸先もよいし、甲府は二人に地の利をしめていると思える上に、万一の時には、いつでも柳沢家の手を借りうる事になったので、二人はここ数日を逸すべからざる機会と見て、忽ち、城下の巷(ちまた)へ姿をかくしました...
吉川英治 「江戸三国志」
...平常から万一の時のため...
吉川英治 「新書太閤記」
...さすれば、すべてこの新吉が一存でしたこととして、万一の時にも、お店にはかかわりないように言い抜けまする」「万事お前に任せておきましょう」「ありがとう存じます...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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