...わたしは花井邸訪問の一齣を次のやうに書いてゐます...
石川三四郎 「浪」
...風間三千子が撮影した顔子狗の最期(さいご)を示すフィルムの一齣(ひとこま)を引伸し写真にして添付(てんぷ)した...
海野十三 「鬼仏洞事件」
...さういふ点で能の動作の各瞬間が彫刻的一齣であるといへる...
高村光太郎 「能の彫刻美」
...僕はこの小説の一齣一齣の描寫の間に...
太宰治 「道化の華」
...――いづれにしても悲喜劇の一齣たるを免かれないものだつた...
種田山頭火 「行乞記」
...これも人生の悲喜劇一齣だらう...
種田山頭火 「行乞記」
...又實に外交劇の能事を盡くしたる一齣なりき...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...余は井筒に倚(よ)れる男女の図に対して何(なん)の理由なく直(ただち)にマアテルリンクの戯曲 Pellas et Mlisande の一齣(いっせき)を聯想(れんそう)せり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...わたくしが始めてチャイコウスキイの作曲イウジェーン・オネーギンの一齣が其の本国人によって其の本国の語で唱われたのを聴得たのは有楽座興行の時であった...
永井荷風 「帝国劇場のオペラ」
...特に微速度で何秒かに一齣ずつ撮れば...
中谷宇吉郎 「映画を作る話」
...フィルムの一齣(こま)ではないかとおもわれた...
原民喜 「美しき死の岸に」
...その一齣を丁寧に折り疊んでは...
堀辰雄 「エトランジェ」
...吾々の会話の一切が「悲劇」の一齣であるかのやうな気がして来る...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...わかい日読んだ鏡花つくるの一齣のやうだ...
正岡容 「下町歳事記」
...芥川さんの何かの小説に「読経を新内のように聴いていた」という一齣(ひとこま)がありましたね...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...荻江露友を扱った物語の挿話でも同じく「五人男」中の此村大吉を登場させこの大吉の姿をモデルに中村仲蔵が例の五段目の定九郎をおもいついた一齣を挟んでいるからである...
正岡容 「我が圓朝研究」
...これはその初めの僅かな一齣(ひとこま)にすぎないのだ...
山本周五郎 「日本婦道記」
...忘れ難い人生の一齣ではあつた...
吉川英治 「折々の記」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??