...坐右の綺譚一册をとつて左の一齣を誦さずにはゐられない...
心猿 「荷風翁の發句」
...帰りは静岡へ寄って老父や老母相手に一齣(ひとくさり)大村の懐旧談に花を咲かせました...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...これも人生の悲喜劇一齣だらう...
種田山頭火 「行乞記」
...誰も彼もアイスキヤンデーを食べる、現代風景の一齣...
種田山頭火 「其中日記」
...街頭に於ける悲喜劇一齣はこゝに書くにも忍びない...
種田山頭火 「其中日記」
...かの女はひとつのものからひとつのものへと大きく動いて行く自然の道程の一齣(いつく)として是非ともその墓に詣でなければならないのを感じたのであつた...
田山録弥 「百合子」
...しかし多くの著者は本木の活字完成を印刷歴史の一齣としてゐる傾向があつた...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...第十四編 絶望の壮観一 軍旗――第一齣(せつ)まだ何事も起こってこなかった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...その一齣はそのまま家にいる妻の方に伝わっているのではないかとおもえた...
原民喜 「美しき死の岸に」
...男純情の……等と時花唄(はやりうた)の一齣を自ら奏で且つ諷つてゐた...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...わかい日読んだ鏡花つくるの一齣のやうだ...
正岡容 「下町歳事記」
...しからずんば某(なにがし)かよこせよといたぶるの一齣(ひとこま)あり...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...そゞろポーがアッシャ館の一齣をさへ想起せりけり...
正岡容 「山の手歳事記」
...荻江露友を扱った物語の挿話でも同じく「五人男」中の此村大吉を登場させこの大吉の姿をモデルに中村仲蔵が例の五段目の定九郎をおもいついた一齣を挟んでいるからである...
正岡容 「我が圓朝研究」
...投扇の起源という一齣(ひとくさり)まで読んで聞かせました...
吉川英治 「江戸三国志」
...忘れ難い人生の一齣ではあつた...
吉川英治 「折々の記」
...しばらくの佗び住居に「無可(むか)」という号を用いて浪居している一齣があるが...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...あの美しくも酷(むご)たらしい一齣の場面だけであって...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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