...ただ一途に、愛すべきたった一人の同胞(はらから)であるお里を救うの外、なんの余念もなかった...
海野十三 「雷」
...これではとても善い所へは片付けぬと一途に思い込み...
丘浅次郎 「改善は頭から」
...一途におふさを惡んで當り散らした...
鈴木三重吉 「金魚」
...先(さき)は一途に人形を見に来たと思って...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...組が解散にでもなったら、大きな大事(おおごと)じゃ」「早う帰って来ればよいのに、はがいい親方ですねえ」マンは、一途に、永田杢次が恨めしくてならない...
火野葦平 「花と龍」
...これが何時も市役所で難しい顔をしてがみつけた人であろうかと、彦太郎は妙な気持がしたが、杉山氏は眼鏡の下から細い眼をぱちぱちさせ、小森君、いつも喧しいことばかり云っていたこと、悪く思うてくれるな、職務はつらい、それにどうも政党がうるさい、こんな馬鹿なことがあるか、栄誉ある市庁の役人が、政党にどうして気兼ねせねばならんのか、然し皆馘(くび)がこわいのだ、然し、もう僕は恐れんぞ、この間の歎願書問題でも、一途に、俺のやり方が悪いと云う、衛生課長を更迭しろ、と或る者は云っているそうだ...
火野葦平 「糞尿譚」
...気むずかしい苦り切ッた怖(おそ)ろしい顔色をして奥坐舗(おくざしき)の障子を開けると……お勢がいるお勢が……今まで残念口惜しいと而已(のみ)一途に思詰めていた事ゆえ...
二葉亭四迷 「浮雲」
...一途に凧の影を追つてゐるのみなのだ...
牧野信一 「鱗雲」
...一途にがつかりした...
牧野信一 「お蝶の訪れ」
...」「一途に歓迎のことを思ひ過ぎたからだらう!」「囃子と炬火(たいまつ)だけ位ひなら好からうが...
牧野信一 「円卓子での話」
...守屋さんの生涯は幸福にも少年のその夢をただ一途に歩みつづけてきた人の珍らしい一例で...
三好達治 「オルゴール」
...山城河岸の店から受ける為送(しおくり)の補足を売文の一途に求めた...
森鴎外 「細木香以」
...一途に彼は抑え慎しむことに努力した...
横光利一 「旅愁」
...一途に死を急ごうとしたのは拙者の心得ちがい...
吉川英治 「江戸三国志」
...(侍奉公を!)と、一途に求めた...
吉川英治 「新書太閤記」
...東部の国境から一途に清洲へお攻めあらば...
吉川英治 「新書太閤記」
...一途に呑みこんでしまうことを惧(おそ)れて...
吉川英治 「宮本武蔵」
...この上とも、精進一途に、大を成すように心懸けい...
吉川英治 「山浦清麿」
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