...たゞ一途に年長者たちに受け入れられると云ふことですべては打ち消されて何の不安も罪悪も感じませんでした...
伊藤野枝 「嘘言と云ふことに就いての追想」
...ただ一途に、愛すべきたった一人の同胞(はらから)であるお里を救うの外、なんの余念もなかった...
海野十三 「雷」
...それが頭にあるので私は一途に逆上してしまったのです...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「魂の喘ぎ」
...ただ一途に神意に従うにある...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...それとも遙々國を出て此地に來て一途に下宿營業に苦しんだ擧句遂に此大病に取付かれたのを感慨の餘りに發した言葉であつたのか...
高濱虚子 「續俳諧師」
...このお若い将軍家の一途に素直な忠誠の念をおいつくしみ下され...
太宰治 「右大臣実朝」
...一途に思ひ詰める性分ではないのである...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...女の言葉が一途に幻覚だとは思へないものも三吉にはあつた...
中村地平 「悪夢」
...心は一途にはしりて前後をかへり見ず...
一葉 「暗夜」
...ぼんやり戻つて来た私は再び魂を入れ代へて一途に仕事に没頭しはじめてゐたのである...
牧野信一 「熱い風」
...名状なしがたき人間の悩みを――一途に悩み...
牧野信一 「月評」
...いろいろな疲労が一途に現れて当分の間は元気もなかつたが...
牧野信一 「毒気」
...そう一途にあきらめてしまうのも早まりすぎるぞと考え直してきはじめていた...
正岡容 「寄席」
...この炭坑で正直一途に小頭(こがしら)の仕事を勤めて来たお蔭で...
夢野久作 「斜坑」
...一途に烈しく和色に偏してゆこうとする自分の保守さ加減も...
横光利一 「旅愁」
...「蝶二つ一途に飛ばん波もがな――これはボストンでの作だったかな...
横光利一 「旅愁」
...東部の国境から一途に清洲へお攻めあらば...
吉川英治 「新書太閤記」
...妻と定められた葵の上をきらって一途に継母を恋い慕う十二歳の源氏である...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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