...そこと正文夫婦の住む母家(おもや)との間には一見して判る気風の相違が現れてゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...一人は髪の毛の長い、色の白い、薄痘痕(うすあばた)のある、背の高い男で、風采は何所(どこ)となく田舎臭(ゐなかくさ)いところがあるが、其の柔和な眼色(めつき)の中(うち)には何所(どこ)となく人を引付ける不思議の力が籠(こも)つて居て、一見して、僕は少なからず気に入つた...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...七 一見して明らかであるように...
レオン・ワルラス Leon Walras 手塚壽郎訳 「純粋経済学要論」
...それが一見してほとんどいいかげんなでたらめなものであるということがわかった...
寺田寅彦 「地図をながめて」
...「京の舞妓(まいこ)だけは一見しておきたまえ...
徳田秋声 「黴」
...その少女がいるからこそ彼等が出て來たことは一見して明らかであった...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...この図を一見して感受する所のものは遠近法に基く倉庫及び運河の幾何学的布局より来る快感なり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...また見物を見に来るのでもなく盆の上の勝負を争いに来るのだから一見してこの社会の者ということが知れるのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...それが追いかけて来た人とは別人であることは一見して分ったけれども...
中里介山 「大菩薩峠」
...兵馬は一見して、これは遊学の書生だと思いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかし、目次を一見して、若い時分の汗顔もののエッセイだけは、どうしても削って貰わねばならぬと思う...
中島敦 「光と風と夢」
...その道具に固めた姿は一見して男子である...
長塚節 「撃劍興行」
...これは主人の旧門下生より来たので誰が見たって一見して意味がわかるはずであるのに...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...一見して仲間じゃないと分かる...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「玉手箱」
...すでに、僞印譜とあるから、どれも一見して、僞印とわかる程度のものだが、古い所は、周文、雪舟、啓書記、秋月、雪村、また古法眼だの、山樂や永徳、文人畫の大雅、玉堂、木米、竹田、蕪村、崋山、四條派の應擧、呉春から明治の雅邦、芳崖にいたるまで、大家といふ大家の印で、ないものはない...
吉川英治 「折々の記」
...いわゆる一見して...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...一見してそうでなかった...
吉川英治 「八寒道中」
...芍薬(しゃくやく)の枝の切り口を一見して...
吉川英治 「宮本武蔵」
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