...ふと気が付くと葉子はしゃがんだまま一茎の名もない草をたった一本摘みとって...
有島武郎 「或る女」
...早春風やはらいで嫩芽(どんが)地上に萌ゆるより、晩冬の寒雪に草根の害(そこな)はれむを憂ふるまで、旦暮(たんぼ)三百六十日、生計の為めにすなる勤行(ごんぎやう)は、やがて彼が心をして何日しか自然の心に近かしめ、凭(よ)らしめ、親しましめ、相抱かしめ、一茎の草花、一片の新葉に対するも、猶(なほ)彼が其子女に対するが如き懸念と熱心と愛情とを起すに至らしめたるにはあらざるか...
石川啄木 「閑天地」
...一茎(ひとくき)の朝顔が生ひ出でたが...
伊東静雄 「詩集夏花」
...我等は一茎の薔薇にじっと目をやって...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...夏になって一茎に一花を開く...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...一茎持つて戻つて...
種田山頭火 「其中日記」
...南無一茎草如来である...
種田山頭火 「道〔扉の言葉〕」
...風に吹かれる一茎の葦(あし)のように...
徳田秋声 「縮図」
...一茎の花もない心理風景というものが想像される...
豊島与志雄 「砂漠の情熱」
...痩竹一茎扶上レ墻と...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...その一茎の花を今度は自分の鼻頭(はなづら)へあてがって...
中里介山 「大菩薩峠」
...小野蘭山(おのらんざん)の『本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう)』巻之十一「大薊小薊」の条下に「鶏項草ハ別物ニシテ大小薊ノ外ナリ水側ニ生ズ陸地ニ生ズ和名サワアザミ葉ハ小薊葉ニ似テ岐叉多ク刺モ多シ苗高サ一二尺八九月ニ至テ茎頂ニ淡紫花ヲ開ク一茎一両花其花大ニシテ皆旁ニ向テ鶏首ノ形チニ似タル故ニ鶏項草ト名ク他薊ノ天ニ朝シテ開クニ異ナリ」と述べてサワアザミが明らかに書かれている...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...この一茎九華なる蘭は中国特産の蘭品である...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...一茎の花にも心惹かれる柔かい詩人のたゆたいが要り...
室生犀星 「日本の庭」
...おほかた鬢上に一茎の霜をや点し給ふらんとぞ覚ゆる...
與謝野禮嚴 「禮嚴法師歌集」
...一茎(けい)の蛍草(ほたるぐさ)を摘(つ)んで...
吉川英治 「新書太閤記」
...雪菜の一茎(くき)を入れて...
吉川英治 「山浦清麿」
...内十六人は各造花一茎をささげ...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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