...彼は自分の人生を渾沌から救い出すため、一縷の望みを抱いていた...
...鴎外が抽斎や蘭軒(らんけん)等の事跡を考証したのはこれらの古書校勘家と一縷(いちる)の相通ずる共通の趣味があったからだろう...
内田魯庵 「鴎外博士の追憶」
...一縷の煙のたち昇るも寂しげなり...
大町桂月 「冬の榛名山」
...それに一縷(いちる)の望みをつないで東京行きを思い立ったのに違いないので...
谷崎潤一郎 「細雪」
...是非にも此等の藝術に一縷の慰籍を求めざる可からず...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...一縷の生を托するものよ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...辛(かろ)うじて一縷(いちる)の細き力に頂(いただ)きへ抜ける小径(こみち)のなかに隠れた...
夏目漱石 「虞美人草」
...そしてこの慘(みじ)めな侘びしい氣持では――一縷(る)の望みもなくなつたこの空しさでは...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...一縷の望みを繋いでかくは物し侍べんぬ...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...人間自製の人類滅亡兇器を永遠に封鎖する一縷の望みを...
正宗白鳥 「今日は無事」
...芥川の小説の「極楽」というの覚えていらっしゃるでしょう? 一縷の糸につながって極楽へゆくという話...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...いつまでも一縷の望を繋いでいて心は無用の事物に牽(ひ)かれ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...でも一縷(いちる)の望みをつなぎじっと待ちつづけている――彼は...
山川方夫 「待っている女」
...「どうじゃ金吾……わしは何か一縷(る)の曙光が見えて来たような気がするが」「拙者にも...
吉川英治 「江戸三国志」
...一同は退出まぎわの一言に一縷(いちる)をつないで退きさがったが...
吉川英治 「私本太平記」
...なおその手がかりに一縷(る)の断末的な意力を燃やして厳命した...
吉川英治 「新・水滸伝」
...まだまだ一縷(る)の望みをつないでいるのであった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...それへ一縷(る)の曙光(しょこう)を見出したのだ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...ことによると一縷(いちる)の手懸りといえるやも知れない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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