...彼は自分の人生を渾沌から救い出すため、一縷の望みを抱いていた...
...この混沌たる暗黒時代に一縷の光明を与ふるものは僕等の先達並びに民間の学者の纔(わづ)かに燈心を加へ来れる二千年来の常夜燈あるのみ...
芥川龍之介 「文部省の仮名遣改定案について」
...況や一縷の望を掛けて居るものならば...
伊藤左千夫 「水害雜録」
...何かしら心の隅に一縷(いちる)の望みが残っているような気がした...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...まだ一縷(いちる)の生命が残っていたか……地上に残された琵琶の形が助けを呼んでいる...
中里介山 「大菩薩峠」
...一縷の烟も立たない三四十の萱葺の丈夫相に見える家が一つ所に聚つて居る...
長塚節 「才丸行き」
...眠らんとする春の夜(よ)に一縷(いちる)の脈をかすかに搏(う)たせつつある...
夏目漱石 「草枕」
...もしくは自己の狭隘(きょうあい)なる経験より出でたる一縷(いちる)の細長き趣味中に含まるるもののみを見て真の文学だ...
夏目漱石 「作物の批評」
...此處へ親分の錢形平次が來さへすれば――と言つた一縷(る)の望みに燃えて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...甚だ心細い反証だが今のところこれだけが一縷の望みなのである...
久生十蘭 「魔都」
...」と胸に一縷の望を持つて...
牧野信一 「ランプの明滅」
...人間自製の人類滅亡兇器を永遠に封鎖する一縷の望みを...
正宗白鳥 「今日は無事」
...芥川の小説の「極楽」というの覚えていらっしゃるでしょう? 一縷の糸につながって極楽へゆくという話...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一縷烟出窓外...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...ただここに一縷(る)の希望は...
吉川英治 「黒田如水」
...固く唇(くち)をとじ合ったまま今はただ一縷(いちる)の望(のぞ)みを...
吉川英治 「三国志」
...いずれは由縁(ゆかり)へお身を潜めているものと思われますから」「む! たのもしい」尊氏は俄に一縷(いちる)の光を見いだしたようだった...
吉川英治 「私本太平記」
...まだまだ一縷(る)の望みをつないでいるのであった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...その一縷の希望へ祷(いの)りをこめて...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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