...姫は、赤地錦の帯脇に、おなじ袋の緒をしめて、守刀(まもりがたな)と見参らせたは、あらず、一管の玉の笛を、すっとぬいて、丹花の唇、斜めに氷柱(つらら)を含んで、涼しく、気高く、歌口を――木菟(みみずく)が、ぽう、と鳴く...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...秘蔵の一管の尺八を携えて...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...僕が一管の尺八を携えて流浪の旅に出たなどと噂されたのもその時分の事だった...
辻潤 「ふもれすく」
...『一管の筆によつて...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...そして、呼吸をするたびに、少しずつ、押し出されて来て、一管が、切口から食み出すと同時に、すぐ、そのつづきが、だらだらと出て、切口から垂れ下った...
直木三十五 「南国太平記」
...お銀様が立ち上った足許に触れたのが一管の尺八であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...手際よくこしらえ上げたのが一管の...
中里介山 「大菩薩峠」
...壁の一隅に立てかけてあった一管の笛に眼をとめました...
中里介山 「大菩薩峠」
...その上に一管の短笛が置かれていることは...
中里介山 「大菩薩峠」
...獨り一管の筆あるのみ...
長塚節 「草津行」
...一管のシノ笛でした...
野村胡堂 「幻術天魔太郎」
...一管の尺八を腰に差して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...好きな尺八一管を友に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...一管の笛に生涯を賭(か)けることもできるのだろう...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...この杜鵑(とけん)と銘(なづ)けた一管を...
吉川英治 「篝火の女」
...一管(かん)の竹にわびしい心を託して普化(ふけ)の旅をつづけて終るつもりであった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...そのとき一管の竹は...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...冷たい一管の竹では防ぎ得ないものが育っている...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??