...一抹の爽やかさを吹き込んできただけのことであった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...慌(あわただ)しい中にも妙に一抹の侘(わび)しさを私の胸に滲(し)み入らせていたが...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...主のない部屋の中は寒々とした一抹の空虚(うつろ)をどことなく漂わせているように感じられた...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...遠くから見ると吉野紙(よしのがみ)のようでもありまた一抹の煙のようでもある...
寺田寅彦 「烏瓜の花と蛾」
...天の一方には弦月(げんげつ)が雲間から寒い光を投げて直下の海面に一抹の真珠光を漾(ただよ)わしていた...
寺田寅彦 「札幌まで」
...一抹の疑惑を懐かせられて...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...ひどく色っぽくも皮肉にもなる眼付――それに一抹の疲れが見えるのは...
豊島与志雄 「操守」
...わからねえ」その面(おもて)に一抹の暗雲がかかって...
中里介山 「大菩薩峠」
...一抹の陰影があることは疑いもありません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...吾に一抹の悔も残らざらむ...
牧野信一 「青白き公園」
...岬のあたりは一抹の滲みを引いて模糊としてゐた...
牧野信一 「環魚洞風景」
...一抹の淋しさを漂わした感情の所有者であることなどが直に窺われる...
宮本百合子 「九月の或る日」
...一抹のきれいな雲に似た心の動きをよく捉えたものです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...このことは一抹の淋(さび)しさを吾々に抱かしめる...
柳宗悦 「地方の民藝」
...何んとなく一抹のあわれを感じて来るのだった...
横光利一 「旅愁」
...どう仕様もない一抹の悲しみの露となって滴り...
横光利一 「旅愁」
...そこに一抹の暗影を感じないわけにはゆかなかった...
吉川英治 「三国志」
...日本皇室史に一抹の陰影を長く曳いている...
吉川英治 「随筆 新平家」
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