...一抹の煙と短い火と...
芥川龍之介 「山鴫」
...一瞬のうちに一抹の火焔となって燃え尽してしまったのである...
海野十三 「雷」
...一抹の雲なき青空...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...誰の胸にも一抹の物足りなさが残った...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...幸福な彼の晩年にも一抹の黒い影がさした...
寺田寅彦 「レーリー卿(Lord Rayleigh)」
...その着飾りようといい――(もっともちょうど祭日には違いなかったけれど)――彼の腦裡に一抹の疑念を呼び醒まさずには措かないのであった...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...ひどく色っぽくも皮肉にもなる眼付――それに一抹の疲れが見えるのは...
豊島与志雄 「操守」
...世界に気象台ありて以来の統計によると太陽が毎一年に、我地球の表面に射下(いくだ)す光と熱との分量は、一抹の増減なし...
シモン・ニューコム 黒岩涙香訳 「暗黒星」
...……そういう一抹の不安のないこともない私に...
堀辰雄 「ほととぎす」
...常に消えかゝつた一抹の白い煙が...
牧野信一 「鏡地獄」
...その静寂さは何処の隅々までも一抹の憂ひの埃を残さず...
牧野信一 「サクラの花びら」
...此(この)恨は初め一抹の雲の如く我(わが)心を掠(かす)めて...
森鴎外 「舞姫」
...省みて民謡を有たない生活に一抹の淋(さび)しさを思わないわけにはゆきませぬ...
柳宗悦 「民藝四十年」
...ぼくらの結婚に一抹の不安を持っていたことなどおもい出すのである...
山之口貘 「沖縄帰郷始末記」
...それでも彼の行動には一抹の諧謔がまつわつていて...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...一抹の不審にハッとその御眉は吹き研(と)がれたかのようだった...
吉川英治 「私本太平記」
...一抹の航跡を曳(ひ)いて...
吉川英治 「随筆 新平家」
...一抹の哀愁にとらわれて...
吉川英治 「宮本武蔵」
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