...其中に唯一つ一抹の白烟の帝都の空に搖曳せるあり...
大町桂月 「鹿野山」
...その着飾りようといい――(もっともちょうど祭日には違いなかったけれど)――彼の腦裡に一抹の疑念を呼び醒まさずには措かないのであった...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...ある憂鬱(ゆううつ)な寛大さ、多少の倦怠(けんたい)、一抹の皮肉、穏和な良識など...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...清緑一抹の間、點々として村落あり...
長塚節 「草津行」
...島の上には一抹の白雲が斜に棚引いて一二の峰が僅に其雲に相接して居る...
長塚節 「彌彦山」
...空の藍はようやく一抹の灰濁をおびはじめ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...學生生活を離れて遠くにちりぢりになつてゆく一抹の淋しさが...
林芙美子 「就職」
...見受けるところ先生の面(おもて)には一抹の憂色があって...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...場合によっては……真名古の面上は何ともいえぬ一抹の凄気がサッと流れ出す...
久生十蘭 「魔都」
...……そういう一抹の不安のないこともない私に...
堀辰雄 「ほととぎす」
...シンシア嬢の笑みには一抹の悲観があった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「四日闇夜」
...常に消えかゝつた一抹の白い煙が...
牧野信一 「鏡地獄」
...頼襄の生涯は猶一抹の横雲に其中腹を遮断(しやだん)せられたる山の如くなれり...
山路愛山 「頼襄を論ず」
...一抹の愁雲(しゅううん)に覆われてしまった宮津藩は...
吉川英治 「剣難女難」
...一抹の哀愁(あいしゅう)はある...
吉川英治 「剣の四君子」
...そこに一抹の暗影を感じないわけにはゆかなかった...
吉川英治 「三国志」
...一抹の不審にハッとその御眉は吹き研(と)がれたかのようだった...
吉川英治 「私本太平記」
...一抹の哀愁にとらわれて...
吉川英治 「宮本武蔵」
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