...まあ篤文家とでもいつたやうな痴(こけ)の一念で生きて行きたいと思つてゐるのですが...
太宰治 「津軽」
...いま私の心を占めているのは「神のご光栄のために」という一念である...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...ただそれだけが一念でありましょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...早くこの部屋から身をぬけ出したいと云ふ一念で...
平出修 「逆徒」
...さうして一番はつきり此女の考として残つたことは、此品(これ)をとられてしまつてはすぐ食ふことが出来ない、自分と、三人の子供の命の蔵(くら)は、今自分が座つて居る莚の下にある、生きたいと云ふ一念で、良人(をつと)は恐しい土蔵破りをまでした、その一念で、自分は怖さ、恥しさを忘れて、ぢつと座つて居た...
平出修 「夜烏」
...多念を否定する一念でもない...
柳宗悦 「民藝四十年」
...白痴の一つ記憶(おぼえ)式の一念で...
夢野久作 「笑う唖女」
...唯々お身のお為を思う私の一念でござりますものを……淫婦の...
吉川英治 「剣難女難」
...妾が一念で摺り変えた眠り薬を...
吉川英治 「剣難女難」
...元成はこの一念で...
吉川英治 「私本太平記」
...覚一さまには」「ただもう琵琶の励みに一念でございますが...
吉川英治 「私本太平記」
...その一念で、ふと忍剣のあたまに、あることがひらめいた...
吉川英治 「神州天馬侠」
...ただ五人の敵! それに一念であるため...
吉川英治 「神州天馬侠」
...禍いだと申しおる」「鈍物(どんぶつ)の一念でしょう...
吉川英治 「平の将門」
...あいつに逢うのを一念で待っているのだ」「そのお千絵に...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...「わしも、お身に会ったなら、何ぞ消息(しょうそく)が聞かれようかと、それ一念で、山牢の柵を破ってまいったのじゃ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...死のせつなの一念で...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...「死んではならぬ! 死んではならない!」彼は、その一念で、生きていた...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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