...私はあの春風駘蕩たる彼の貴重な顔を眺めながら神経質な彼の作品を思い出したことは一度もない...
伊丹万作 「人間山中貞雄」
...このような美しいものを感じたことは一度もない...
上村松園 「車中有感」
...本気になって彼を語ったことは一度もない...
大下宇陀児 「乱歩分析」
...彼がそれまでにこの時ほどの狡猾さを示したことは一度もないと私は思ったので...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...夫人、あなたの掛けていられるところは見たこともあるが、手に取ったことはまだ、一度もない...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...譲治さんより外の男と二人ッきりで居たことなんか一度もないのよ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...こんな悲しい眼をしたことは一度もない...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...と思ったことは一度もない...
外村繁 「澪標」
...まだお梅姐さんのような女に逢ったことは一度もない...
野村胡堂 「百唇の譜」
...矧(いわん)や朋輩同士で喧嘩をしたと云うことは只(ただ)の一度もない...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...大嘘つきのやうに男と寢たことなんて一度もないやうな顏をしていらつしやる...
室生犀星 「はるあはれ」
...わたくしお会いしたこと一度もないわ...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...この時は万引きみたいではなはだきまりの悪いおもいをするが私の態度が明らかに間が抜けているとみえて警官を煩わすほどの事件を惹き起したことは幸いにまだ一度もない...
森於菟 「放心教授」
...ぼくはあいつを見限ったことは一度もない」「まさに彼女が不幸だったはずはないね...
山川方夫 「演技の果て」
...負けたことは一度もない...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...あんなに厳粛な父の声を聞いた事は一度もないのでした...
夢野久作 「少女地獄」
...両親の言葉に反(そむ)いた事が生れて一度もないばかりでなく...
夢野久作 「霊感!」
...引つ越し先の家を自分で見て決めたことは一度もない...
吉川英治 「折々の記」
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