...空にはまだ雲が立ち迷ってただ一幅の日の光が...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...その片々は一幅の大畫圖となりて我前に横はれり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...それは山村に感心したお客には一幅(ぷく)宛(づつ)大観氏の画(ゑ)を褒美として取らせるといふ事だ...
薄田泣菫 「茶話」
...十萬兩ときいて尚更一幅の書畫がよくなるのである...
高村光太郎 「美の影響力」
...ある女は小波(さざなみ)の立つ泉のほとりに憩い……さながら林泉に喜戯する森の女神(ニンフ)の群れと題する古名画の一幅の前に佇むがごとき思いであった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...そこには一幅の土の肌の見えた路があった...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...忽然一変して歓喜と幸福とを意味する一幅の名画になつたのを知るや否や...
永井荷風 「来訪者」
...箪笥から掛物の一幅を取り出して塵(ちり)を掃(はら)っていました...
中里介山 「大菩薩峠」
...一幅(ぷく)の完全な名画の上にさらに拙(つたな)い筆を加えるのを愧(は)じる気持からである...
中島敦 「悟浄歎異」
...すべてがただ一幅の画(え)と見えるだけで...
夏目漱石 「坑夫」
...せめてそんなものが一幅でもあったらと思った...
夏目漱石 「門」
...我は裾を(から)げあへず停車場まで駈けつけしは宛然として一幅の鳥羽絵...
正岡子規 「かけはしの記」
...この年の春竹川町の三村氏が香以に応挙の鯉(こい)一幅を贈った...
森鴎外 「細木香以」
...あるとき箱書きを頼みに来たのは紙本墨画の一幅...
山本笑月 「明治世相百話」
...おのおの一幅(ぷく)の襟(きん)(衣服)を用意せよ...
吉川英治 「三国志」
...けれどいま、道誉が彼をみちびいた離れは、田舎びた無仏の一堂で、一幅の壁画と、棚には錫の茶壺(ちゃこ)、天目形(てんもくなり)の碗などがみえ、庭園の休み所らしい趣(おもむき)はあるが、闘茶の茶寄合の俗風はどこにもない...
吉川英治 「私本太平記」
...寺蔵の墨梅の古画一幅があり...
吉川英治 「新書太閤記」
...一幅(いっぷく)の図が展じてある...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索