...私は一種の感に打たれながら、いわゆる平氏の遺物を少しばかり取り出して見たが、長さ一尺二、三寸縦横四寸位の杉の箱数箇と、枕数箇の外には何物も見出せなかった...
伊波普猷 「土塊石片録」
...台の高さはいづれも一尺ばかりなりと語られき...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...ほとんど一尺四方の遊ばせてある土地も見られないのである...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...十唱 あたしも苦しゅうございますおい、襖(ふすま)あけるときには、気をつけてお呉れ、いつ何時、敷居にふらっと立って居るか知れないから、と某日、笑いながら家人に言いつけたところ、家人、何も言わず、私の顔をつくづく見つめて、あきらかにかれ、発狂せむほどの大打撃、口きけぬほどの恐怖、唇までまっしろになって、一尺、二尺、坐ったままで後ずさりして、ついには隣りの六畳まで落ちのびて、はじめて人ごこち取りかえした様子、声を出さずに慟哭(どうこく)はじめた...
太宰治 「二十世紀旗手」
...一秒ごとに三十五匁ないし七十匁くらいのものを一尺くらい持ち上げるのとほとんど同じくらいである...
寺田寅彦 「話の種」
...右手の護摩木長さ一尺二寸...
直木三十五 「南国太平記」
...目どおり直径一尺以上のものを選ぶのが常識である...
中谷宇吉郎 「琵琶湖の水」
...草の中からむくりと鎌首(かまくび)を一尺ばかり持上げた...
夏目漱石 「永日小品」
...――長さ一尺五寸幅一尺ほどな青表紙の手帳を約十冊ばかり併(なら)べて...
夏目漱石 「永日小品」
...一尺そこそこの銀の盆が取り付けられ...
野村胡堂 「古銭の謎」
...時(とき)には一尺以上(いつしやくいじよう)もあるのを見(み)かけますが...
濱田青陵 「博物館」
...せいぜい一尺ぐらい...
久生十蘭 「地底獣国」
...ほんたうにその鐘の大きさまでも直径が一尺もあるかなしの手頃な格構で...
牧野信一 「「学生警鐘」と風」
...花穂の長さは五、六寸から、一尺二、三寸許(ばかり)もあり、枝梗の数は一穂に五、六条から五十条もあるのがあって、それが花穂中軸の節から凡そ二、三条位ずつ出て集まっている...
牧野富太郎 「植物記」
...径(わたり)一尺八寸七分許(きよ)厚二寸許緑衣生ぜり...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...一尺の価値は喜んで一尺五寸にする...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...以前は船の形をした一尺五寸ばかりの石が御神体でありました...
柳田國男 「日本の伝説」
...驚いて上げてみると一尺ばかりの色どり美しい魚がかゝつて來た...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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