...おほまはしの御本人が一向に氣がつかぬ...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...御近所にゐながら一向に存じませんで...
心猿 「露伴忌」
...しかしカンカン寅は一向に金の方は渡す様子がない...
海野十三 「疑問の金塊」
...これ等(ら)を解くべき「鍵(キー)」らしいものは一向に見当らないのだった...
海野十三 「省線電車の射撃手」
...だが一向に、これはと思ううまい考えも浮んで来なかった...
海野十三 「蠅男」
...その間何を考えしか一向に記憶せず...
高浜虚子 「子規居士と余」
...近来一向に御意得ず...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...姉は一向にうまくない...
高村光太郎 「回想録」
...一向にふとらないのだもの...
太宰治 「失敗園」
...そう言いながらも私は一向に食塩の用意をしなかったが...
豊島与志雄 「三木清を憶う」
...生れつき質(たち)のわるい方(ほう)ではないのだから今の中(うち)みっしりやって置けといい聞かしても当人には自分の天分もわからず従って芸事の面白味も一向に感じないらしい...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...一向に田所の処の話が埒(らち)があかなかつた...
林芙美子 「浮雲」
...グニャグニャするばかりで一向に手応えがない...
久生十蘭 「魔都」
...俺だって一向にかまわない」面白くなりそうなので...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...それが一面に茂つてゐる雜草のどの邊であるのかすら一向に見分けがつかなかつた...
堀辰雄 「恢復期」
...そうした痕跡はありませなんだか」「一向にも――」と阿賀妻は低く否定した...
本庄陸男 「石狩川」
...わたしには一向に見覺えもないのであつた...
牧野信一 「城ヶ島の春」
...大胆に率直に詠んだ歌といふものは一向に之れ無い...
藪野椋十 「「一握の砂」序」
便利!手書き漢字入力検索