...一向にとけなかった...
海野十三 「火星兵団」
...私には一向にその人たちを信用する気が起らず...
太宰治 「トカトントン」
...「ところが一向に無趣味なんですよ...
谷崎潤一郎 「細雪」
...「あなたは!――私一向に存知ませんが...
――モウパンサン―― 辻潤訳 「頸飾り」
...さういふ状態が一時間二時間三時間と經過しても一向に變りがない...
寺田寅彦 「伊香保」
...帰省してこの濠のあったはずの場所を歩いてみても一向に想い出せないような昔の幻影が...
寺田寅彦 「郷土的味覚」
...今の吾々にとって一向に差閊えのないことである(H・コーエンの如き)...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...誰が見調べても一向に分らなかった...
豊島与志雄 「春盲」
...ベコンベコンといふ間ののびた蛇皮線の音は相變らず聞えるが、何處の家で鳴らしてゐるのか、一向に判らぬ...
中島敦 「環礁」
...一向に意とするに足らぬ...
新渡戸稲造 「自警録」
...という工合に意見がまちまちで結局一向にその原因というものを突き止めることができなかった...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...それが一面に茂っている雑草のどの辺であるのかすら一向に見分けがつかなかった...
堀辰雄 「恢復期」
...波の音ばかりで一向に透らず...
牧野信一 「ラガド大学参観記」
...そして一向に首肯すべきその結論に到着していない...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...また初(はじめ)に「いざや」とあるは子らを催す言葉なれどもこの歌一向に子らを催して何をするとも言はず...
正岡子規 「墨汁一滴」
...この主婦とも十年も見ないが一向に年とった模様はない...
横光利一 「夜の靴」
...変った事はないか』『一向にない』『訪客(きゃく)は?』『きのうは...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...二三本も飮んだが、一向に醉はない...
若山牧水 「梅雨紀行」
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