...生きて戻ったものならば、わしも一儀なく、この屋敷を明渡してよろしいが、主人が死んでしまっている上は、主人とはいえまい、やっぱり、わしが主人じゃ、わしが許すから、遠慮なくこの屋敷で葬儀をとり行え」「えッ」用人は呆(あき)れてしまう...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかるに実隆は一儀に及ばずこれを承諾し...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...この面舐(かおな)めの一儀が済むと...
二葉亭四迷 「平凡」
...某(それがし)ヴィシュヌを念ずるに一心にして妻がいかにかの一儀を勤むるも顧みず「川霧に宇治の橋姫朝な/\浮きてや空に物思ふ頃」ほかにいいのがあるんだろうと...
南方熊楠 「十二支考」
...新産を祝いに来てその子を見ないは一儀に懸りながらキッスをしないようなものと怨むから...
南方熊楠 「十二支考」
...直ちに其帶を解て一儀に及ばんとしたが...
南方熊楠 「蓮の花開く音を聽く事」
...但右之一儀に迷惑いたし居申候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...嘗をもって表示するところの我邦の一儀式のみは...
柳田国男 「海上の道」
...穀霊と共食する民間の一儀式であったろう...
柳田国男 「故郷七十年」
...御頼み申上げ度き一儀あり...
夢野久作 「白くれない」
...下野は、たたみかけて、「おそらく、お館のさしずではなく、出先にある甲州の将士が、無断の乱暴と存ぜられますが、あの一儀は、実に、わが上杉家と親睦のちかい固き武田家の御名のために、深く惜しまずにはいられません」「いや、割ヶ嶽を攻めたは、信玄のさしずじゃ...
吉川英治 「上杉謙信」
...お願い申す一儀がござります...
吉川英治 「江戸三国志」
...かねての一儀、周瑜(しゅうゆ)が軍令きびしきため、軽率にうごき難く、ひたすら好機を相待つうち、時節到来、先頃より陽湖(はようこ)に貯蔵の粮米(ろうまい)そのほかおびただしき軍需の物を、江岸の前線に廻送のことあり、すなわち某(それがし)を以てその奉行となす...
吉川英治 「三国志」
...御仁恕(ごじんじょ)を仰がねばならぬ一儀がございます」と...
吉川英治 「私本太平記」
...やくたいもない一儀は...
吉川英治 「新書太閤記」
...蔑視(べっし)をくれておるにはおるが――このたび徳川どのへ申し入れた一儀(いちぎ)は決して私怨(しえん)などではない...
吉川英治 「新書太閤記」
...貴方へ御内命のあった一儀...
吉川英治 「日本名婦伝」
...御承知のとおり大事の一儀(いちぎ)にて...
吉川英治 「宮本武蔵」
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