...私は世界を一つの巨大なる殿堂と見る...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...)そのうちに看護婦が二人がゝりで一つの大きい金盥を持ち込むのが見えた...
石川啄木 「郁雨に與ふ」
...ルビーやエメラルドのような一つ一つの灯は濃密な南国の夜の空気の奥にいきいきとしてまたたいている...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...りんごの落ちるを怪しむ人があったので万有引力の方則は宇宙の万物を一つの糸につないだというのは人のよく言う話である...
寺田寅彦 「知と疑い」
...しかるに連句では一つ一つの短句長句はそれぞれにはまとまった表象をもっているが...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...ある建具は破(やぶ)れた此の野中の一つ家と云った様な小さな草葺(くさぶき)を目がけて日暮れ方(がた)から鉄桶(てっとう)の如く包囲(ほうい)しつゝずうと押寄(おしよ)せて来る武蔵野の寒(さむさ)を骨身(ほねみ)にしみて味(あじ)わった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...思わず大きなあくびを一つしました...
豊島与志雄 「天下一の馬」
...右側に見える近江屋伝兵衛(おうみやでんべえ)という薬種屋(やくしゅや)などはその一つであった...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...その上最初を一つ奇麗(きれい)にぶち抜いておけば...
夏目漱石 「門」
...平次の返答一つでは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...正太郎が面に疵一つ...
樋口一葉 「たけくらべ」
...知っている星が、一つ、また一つと消えていく...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...……一つの小徑が生ひ茂つた花と草とに掩はれて殆ど消えさうになつてゐたが...
堀辰雄 「あひびき」
...あひにくその時にはもう強いお面は一つも残つてゐなかつたのです...
牧野信一 「泣き笑ひ」
...一寸したハズミが源(もと)になつて自分にも一つの首枷がついてしまつた...
牧野信一 「夏ちかきころ」
...今以て之を盆の正式の供物の一つにして居る...
柳田國男 「食料名彙」
...その一つが、水分川の水利権であった...
吉川英治 「私本太平記」
...その帷幕(いばく)を一つにしていたのである...
吉川英治 「私本太平記」
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