...一たびしたことはそのまま消滅してしまうものではない...
津田左右吉 「歴史の学に於ける「人」の回復」
...彼一たび死す、水戸老公はあたかも放たれたる虎の如し、その幕閣より遠(とお)ざかるに比例して朝廷と密着し、一孔生じて千瘡(そう)出で、遂に容易ならざる禍機を惹起せり...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...名刺一たび入り、書生二たび出(い)でて、山木は応接間に導かれつ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...一たび帰れば彼女(かれ)はすでにわが家(や)の妻ならず...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...更に如何なる現象を生出せざるも保す可からず否其分裂の機は漸く促し來れり憲政黨一たび分裂すれば...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...然るにグラツドストンの自治案一たび出るや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...一たび難局に逢へば...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...若し伯にして一たび進歩黨を去らば...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...未だ一たびも海外に出でたることなしと雖ども...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...しかし一たび流しを出て板の間に上がれば...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...一たび野心という病いの黴菌(ばいきん)が胸中に萠(きざ)したのちは...
新渡戸稲造 「自警録」
...甚しきは應戰防守の準備さへもなく一たび討平を向けらるれば或は直に遁逃し或は謝罪し或は自殺せる者多し...
原勝郎 「吾妻鏡の性質及其史料としての價値」
...一たび葬った自分の過去を再びふりかえって見るような事は私には堪え難いことだったからだ...
堀辰雄 「菜穂子」
...『大英類典』インドの条にまた曰く「虎一たび人を食う癖が附くと殺害の夥しき事怖るべし...
南方熊楠 「十二支考」
...蘭軒は前(さき)に一たび此寺の遊を同うしたことを憶ひ起し...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...一たび堂を説いて詩二首を擧げ...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...一たび彼女たちの霊魂をとらえてしまうと...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...一たび陣頭に半兵衛が立つと...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索