...如何(いか)に金(きん)の紋(もん)を打つた亜鉛葺(トタンぶ)きの屋根は反(そ)つてゐても...
芥川龍之介 「本所両国」
...ポンと卓子(テーブル)の縁(ふち)を敲(たた)く、トタンに、何とも名状し難い、狸の難産の樣な、水道の栓から草鞋でも飛び出しさうな、――も少し適切に云ふと、隣家の豚が夏の眞中に感冒(かぜ)をひいた樣な奇響――敢て、響といふ――が、恐らく仔細に分析して見たら出損なつた咳の一種でゞもあらうか、彼の巨大なる喉佛の邊から鳴つた...
石川啄木 「雲は天才である」
...トタンに真俯向(まうつむ)けに突伏(つッぷ)す時...
泉鏡花 「歌行燈」
...顔はやけトタンのようにでこぼこし...
海野十三 「透明猫」
...トタン屋根にバラックの今の東京は論外として...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...バリ/\と裏のトタン屋根を蹈(ふ)む音がして...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
......
種田山頭火 「其中日記」
...宗助は次の間にある亜鉛(トタン)の落しのついた四角な火鉢(ひばち)や...
夏目漱石 「門」
...がたんとトタンの扉を下してしまった...
火野葦平 「糞尿譚」
...四囲には錆(さ)びたトタン塀をめぐらしているきりで...
堀辰雄 「花を持てる女」
...トタンの湯桶をつくらせた...
正宗白鳥 「水不足」
...それで大きなトタンの桶をおこしらへになりましたの...
正宗白鳥 「水不足」
...赤錆(あかさ)びたトタン張りの小舎(こや)が点在して色のさめた洗濯物やボロ蒲団(ぶとん)など乾してあるのが哀れに目立つ戦災風景だつた...
宮地嘉六 「老残」
...陸橋もトタン板もその下を走る汽車の煙で真っ黒になり...
矢田津世子 「茶粥の記」
...すっぽかすようにすぐに一羽がトタンへ戻った...
矢田津世子 「茶粥の記」
...トタンに明るい往来一面にホコリが立つ...
夢野久作 「塵」
...トタンに横腹がザワザワと粟立(あわだ)って...
夢野久作 「冥土行進曲」
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