...銚子局の出す報時信号(タイム・シグナル)のリズムに聴(き)き惚(ほ)れたものです...
海野十三 「壊れたバリコン」
...銚子無線の時報(タイム・シグナル)を聞きに行ったんでしょうって……」勝見は本館を離れて屋外の闇に走り出ました...
海野十三 「赤耀館事件の真相」
......
高村光太郎 「智恵子抄」
...シグナルをしっかり睨んでいないと危いですよ』『大丈夫だ...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「十時五十分の急行」
...巡査やシグナルの助けを借りずとも自由自在に通過することができるにちがいない...
寺田寅彦 「からすうりの花と蛾」
...そのシグナルも風に吹かれ...
萩原朔太郎 「純情小曲集」
...そしてたくさんのシグナルや電燈(でんとう)の灯(あかり)のなかを汽車はだんだんゆるやかになり...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...そしてたくさんのシグナルや電燈の灯のなかを汽車はだんだんゆるやかになりたうたう十字架のちゃうどま向ひに行ってすっかりとまりました...
宮沢賢治 「〔「銀河鉄道の夜」初期形一〕」
...シグナルの柱はかたんと白い腕木(うでき)を上げました...
宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」
...ゴゴンゴーゴー」本線(ほんせん)のシグナルはせっかちでしたから...
宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」
...やっぱり雷(かみなり)か噴火(ふんか)だ」本線(ほんせん)のシグナルは...
宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」
...シグナルさんに雷(かみなり)を落(お)とす時...
宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」
...シグナルは一生の失策(しっさく)をしたのでした...
宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」
...本線シグナルつきの電信柱は...
宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」
...おれはシグナルの後見人(こうけんにん)だぞ...
宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」
...シグナルとシグナレスとはほっとまたため息(いき)をついてお互(たが)いに顔を見合わせました...
宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」
...障子の内家古い妻は干鰈を日なたへ出してその鹽かげんをひとりでほめてゐる日はあたたかくさしてゐるその影はすぐ足袋ともつれてひとむらの篠竹の影と一しよに障子に映つてくる啼くものは冬の蠅だけである古い妻はさておなかのこどものために小さい襦袢やおしめを縫ふのである日なたへ出てさうして一日をくらすのである冬木濃いむらさきの芽が着いてゐた冬のさむい薪のなかにそれを抓んでみると生きてゐてすべすべしてゐたそれゆゑ日南へ干しておいた春の午後朝の湯からあがつて小鳥の籠の手入れをすまして靜かにたばこをふかしてゐるとその青さが深くなつてみえる小鳥は濡れた羽がきをやつてゐる日のなかで嬉しさうに水浴びをしてゐる霧が立つごとに虹が立つわたしはうつとりしてそれを眺める遠くからしてくるものは豆腐屋のラツパ汽笛の聲どこかで井戸をあげる音くらゐである心はのんびりと小鳥をながめてゐる誰も訪ねてこない川端の奧のさくらにまだ間のある春の午後であるある夜家家のラムプの明りがこん夜はたのしげに點いてゐるしんとした夜の奧にあるものは木立のしげみの中にあるどこの家へでも行つて親しげに話したい氣がした障子の内書物をよんでゐるとけさの障子の明るさがいつもとは異つてゐる靜かで温かで日に蒸された地面がぼんやり匂つてくる机にむかつてゐる片頬がいきる障子をへだててほんのりと櫻色がさしてくるのであるそのうへ室はいつまでも誰もこないからあし音一つない桃の小枝温泉(ゆ)のしき石にけさ何處かの子供が持つてきたのであらう桃の小枝が踏みにじられて青い蕊を沁み出してゐた湯にはひりながらそれを眺めてゐると窓のそと一杯に日があたると向ひ山を染めた樹の花がゆめのやうに燃えたさびしく感じた小鳥ある日留守の間にひとりの青年がたづねてきて小鳥のつがひを籠にいれたままわたしにおくつてくれた小鳥はちひさな夫婦で名もわからないポルトガルの種であることその人が西洋人から貰つたものであることさう言つて見知らぬ友はかへつた粟がひと包みそへてあつたその友はへいぜい下宿のわびしい室でこの珍らしい小鳥を放し飼ひにしてゐた玄關に出たうちのものにその籠をわたすとき見知らぬ友は實際なつかしさうに小鳥をながめてしばらくは去らうとせずさて煙草を一本のんでゆつくりと籠と小鳥とを眺めて道のわるい田端の奧から歸つて行つたときどき餌をもつてきませう可愛がつてやつてくださいさう見知らぬ友が言つて去つた晩おそく私は町からすこし醉つてかへつて自分の室の机の上にこの珍らしい小鳥を見いだしたあくる日は晴れてあさの光にあてるとココア色の羽根と白いくちばしをもつた小鳥は水をあびながらひくい聲でくくくと啼きながらあそんでゐたときをり次の間越しにわたしは仕事の手をやすめてその啼きごゑにききとれた晴れた日とかかはりのある鳥類のしかもつがひで啼きいそしむ姿は寂しくわたしの目の前を去來(ゆきき)した星わたしは微笑つてみた何氣なくふいに靜かにその女もさうしてみせたそのあひだに三百年も經つてしまつた暖爐まだ春ではあるがわたしの室には暖爐がしづかにもえてゐる蘇鐵の濃いみどりがそこにあるつかれるとそこで煙草をのむ冬はなかなか去らないそれゆゑなほ暖爐がなつかしい冬屋根も篠竹も霜のおもみで垂れて動かなかつた冬の砥のやうな月がその上に出てゐたみな凍えあがつて風は全くなかつた 何も動かなかつた恐怖道をたづねてきたひとがひと晩に三度もやつてきた三度ともわたしはそれを教へた暗い晩で雲がさかんに寒ぞらに走つて砥ぎ出された星がいくつも輝いてゐたその人はその晩はさすがに最(も)う來なくなつたしかし私はどうしても來るやうな氣がした暗い星ぞらをみてゐるとぬかつてゐる道をあるいてゐるその人が見えるやうな氣がしたわたしは机にもたれては聞耳を立ててからだを凝らしてゐたもしやその人がふいに來はしないかと胸がどきつくほど落ちつかなかつた窓はいくども開けてみた暗さが、暗さを折りかさね窓につづいてゐたたうとうその人は來なかつた夏晝鮎のかげ脊なかにほくろのある鮎が日のさす靜かな瀬のうちに泳ぎ澄んでゐる幾列にもなつて優しいからだを光らしてゐるその影は白い砂地にかげ繪のやうに大きくなつたり小さくなつたりして時には暉(ぼ)けたりする水のかげまで玉をつづつて底砂へ落ちてゆくちひさい物音にさへ花のやうに驚いては散つてまたあつまる鮎すらりと群をぬいた大きな鮎がときどき群を統べてゐるのかすこし瀬がしらへ出たりほこらしく高く泳いでは水面へぱちりとはねくり返るしんとした波紋がするあとは土手の上の若葉の匂ひがするばかり夏晝夏のあかるさすみからすみまで光に埋つてゐるそのなかにひとつづつ彫られてゆく小さい生きものの姿うすい羽誰が彫つてゐるかわからないがひと鑿づつそれが浮んでゆく夜夜になつて木の葉を見るとふしぎに幽遠な氣がするむくれあがつた土を見ても深いところを覗くやうな氣がする夜になつて風がささやく木の葉をゆすぶる何かがこつそりと抱き合つたやうな氣がする影と影のやうなものが……空はふかく星がいちめんにあるいくら見てゐても飽きないみればみるほど何かを發見するやうに思ふあたらしいものが心に乘りうつることをかんじるかたまつて光つてゐるのや一つきり非常に地上に近いところにはすかいに光を投げて澄みかがやいてゐるのがある群星をはなれてゐるので寂しい妙になにかを話しかけられてゐるやうな氣がしてくる見れば見るほどなにか話したくなるゆめわたしはゆめを見たひとつきりのゆめを……それはいつ見たゆめかわからないけれどもわたしはそのゆめのなかでふしぎなものを貰つた小さくちかちか光つたもの星に似たやうなものかたちのないものわたしのこころそのままなものわたしはわたしの心にあつてみたときには夜になるとひつそりと私からはなれてゆく心を……果しない遠いところへ微妙なこどものやうになつて星のなかへそこでさまざまなものに逢ふさまざまなけだものに逢ふものをいはない影のやうな人物に逢ふそこにゐるものはみな裸で美しい光のなかに遊んでゐる蠅きりきりと羽根を震はせると蠅は美しい虹いろにかがやいたそして死んだまねをした動かないぢつとしてゐる死んだのかも知れない仰向けになつたままからだが光つてゐる蠅はすてられた地べたのうへにそこでは蟻の活動がはじまつてゐた地上といはず地下といはずたくさんの蟻がうづをまいてゐた蠅はなかなか動かない死んでしまつたのだらうと誰でも考へるあかるい夏の光が照つてゐる蠅のからだにもどんどん光がそそがれあたたまりが旺んにつたはつてゐるけれども動かない蟻は木や草や家やあらゆるものを取りまいてゐるそして上れるものには皆のぼりあるけるところを皆歩いてゐるけれどもまだ蠅をしらないすてられた蠅はまだ死んでゐるしかし間もなく動くだらうふしぎに默つてそして立つてゆくにちがひなからう山峽の道路枯草がなびいてゐるうそ寒い夕がたが落ちてきた枯草がなびいてゐるそれが見えぬほど暮れてゐるどこからか子供の聲がした一つ燈が疎林のあひだにみえる山の手線停車場の粗い建物と冷たい敷石にまるい少女が立つてゐるかの女のからだのどの部分も紅い着物も肩かけも手袋もその顏も雪はふらないが寒いのである誰でもうすぼんやりとレール道をながめてゐると汽車も電車も夢のやうに見える日である顏も着物も紅い女がつめたい敷石にひとりだけ立つてゐるみればみるほど美しい類ひなく優しい誰でもその女に目を遣る冷たい玻璃戸にかこまれた或は吹きさらしの山の手線では匂へるだけ匂つてゐる沈丁花の株が日に蒸されて土手の上にあるやがて女をのせて電車がゆくあとは敷石と玻璃だけが冷えに冷えてのこつてゐる土手田端の奧にガードがあるそこのふた側になつてゐる土手がこのごろ眞青になつて深い草むらをつくつたあさはきつと歩きにゆく仕事にくたびれた午後も晩食の濟んだあとでも歩くふしぎに晩は向つ側の土手が、くらみをもつてどつしりと臥てゐるこちらの土手も長く暗く深い谷間を想像させる向う側の人家の屋根、屋根をかこむ樹、樹にちらつく美しい星、そして緑から吹き出たやうなそよそよした爽やかな風がからだをなでるときどき隙間には山の手の電車が通るあかるい窓、ちらつく白いきもの、女の乘客のふくれた膝、シグナルが一つ、青く震へてゐるどんなに疲れたときでもこの土手にくるとさつぱりする誰も晩はあるかない風ばかりが囁やく――...
室生犀星 「星より來れる者」
...彼の横に突立っているシグナルの白い柱を仰いだ...
夢野久作 「木魂」
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