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富澤赤黄男 「天の狼」
...」衷氏が歿(な)くなった時のお通夜や、仏事の日などは、ありとある部屋に、幾組といってよいかわからぬほどのお客をして接待した欣々女史、その新盆(にいぼん)には、おびただしい数の盆燈籠(ぼんどうろう)を諸方から手向(たむ)けられたのを家中の軒さきから廊下から室内(へやのなか)の天井へずっとかけつらねさせたという、豪華なことのすきな彼女が、練馬の新築の家では、夜になるとピンピン、キシキシと、木材のひわれる音に神経を悩まして、いやだというように弱くなってしまったとは、美貌の誇りと、栄華の夢のさめぎわの、どんなにさびしいものかという底に、それよりほかの根はなんにもないであろうか? あたしは否(いいえ)といいたい...
長谷川時雨 「江木欣々女史」
...ガローシの底でキシキシいう雪の音を思い出します...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...床板がキシキシ鳴った...
矢田津世子 「反逆」
...水圧でもって……キイッ……キイッ……キシキシキシキシと鳴るのを聞いていると...
夢野久作 「難船小僧」
...キシキシと体が軋(きし)み鳴るような緊迫した顔を硬(こわ)め...
吉川英治 「私本太平記」
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