...微かに煙るアーク燈の光りのあちらに五重の塔がくすんだ影を陰欝に浮き立たせてゐた...
武田麟太郎 「一の酉」
...ぼつぼつ点(つ)いたアーク燈の光に嫩葉(わかば)の動いているのが見えていた...
田中貢太郎 「女の首」
...雨中にしょんぼり立ち止りながらアーク燈の光を透かして...
谷崎潤一郎 「秘密」
...その暗い丸(まる)の内(うち)の闇(やみ)の中のところどころに高くそびえたアーク燈が燦爛(さんらん)たる紫色の光を出してまたたいていたような気がする...
寺田寅彦 「銀座アルプス」
...往來を隔てゝ高くアーク燈が立つて居る...
長塚節 「菜の花」
...アーク燈の光を翳して見る闇い空は天鵞絨の如く滑かに見える...
長塚節 「菜の花」
...アーク燈の光を一杯に下から反射する花簪は柱の蔭に居た太夫のよりも立派に見えた...
長塚節 「菜の花」
...冷然として居るアーク燈の白いホヤを...
長塚節 「菜の花」
...アーク燈という名前は知らない...
中谷宇吉郎 「八月三日の夢」
...四阿(あずまや)の傍えには一基のアーク燈...
久生十蘭 「魔都」
...通がつて我慢して食ふハムサラダ峰月梅見とはハイカラの行く所でなし浅峰アーク燈味も素つ気もなく光り同花氷すきやの袖を風なぶる也奈貴余つ程の覚悟で女店員になり蛍石ハムサラダが「我慢して食ふ」ものであつたり...
正岡容 「大正東京錦絵」
...盛岡(もりをか)の電燈は微(かす)かにゆらいでねむさうにならび只(ただ)公園のアーク燈だけ高い処(ところ)でそらぞらしい気焔(きえん)の波を上げてゐる...
宮沢賢治 「秋田街道」
...市役所のアーク燈に照らされた大階段にぎっしりとつめかけて国民兵の募集に応じようとしている市民の群が描写されている...
宮本百合子 「折たく柴」
...そろそろ二本アーク燈の柱が見え始めた...
宮本百合子 「海浜一日」
...いくらアーク燈があかるくても照しきれない新鮮な闇がゆたかに溢れている...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そこにアーク燈の輝いているところで...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...雑然と並んでいる青白いアーク燈の瞬きが...
夢野久作 「オンチ」
...部屋のズット向うの隅のアーク燈みてえな眩(まぶ)しい...
夢の久作(夢野久作) 「人間腸詰」
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