...芭蕉の情調のトレモロを如実に表現した詩語である...
芥川龍之介 「芭蕉雑記」
...世間といふものがどんなに意地悪いかを如実に見せつけられたゞけだつた...
種田山頭火 「行乞記」
...敵の証言が味方のそれよりもかえって当人の美点を如実に宣明することもしばしばあるのである...
寺田寅彦 「埋もれた漱石伝記資料」
...しかも人間の可能性の延長であり人間の欲望の夢の中に揺曳(ようえい)するような影像を如実に写し出すというのも一つの芸術ではあるが...
寺田寅彦 「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」
...なかんずく速須佐之男命(はやすさのおのみこと)に関する記事の中には火山現象を如実に連想させるものがはなはだ多い...
寺田寅彦 「神話と地球物理学」
...即ち作者が「面白いから面白い」ことを如実に現したいといふ態度である...
中原中也 「芸術論覚え書」
...文章の恐ろしさを如実に示しているような気がするのである...
中谷宇吉郎 「寒月の「首縊りの力学」その他」
...写実主義は現実を如実に描写するものではない...
二葉亭四迷 「平凡」
...現実の(真(しん)とは言わなかった)真味を如実に描写するものである...
二葉亭四迷 「平凡」
...「よろしく配慮を――」と云った主君邦夷の言葉がそれを如実に語っていたのだ...
本庄陸男 「石狩川」
...自分の生活を如実に描いたのだと云ひながら...
牧野信一 「或る日の運動」
...久保田万太郎氏の「春泥」はこの町のしゞまを如実に描破してゐる...
正岡容 「下町歳事記」
...このことを如実に語る...
柳宗悦 「雑器の美」
...作り上げて行く「細胞の記憶力」の大作用を如実に首肯されると同時に……何が胎児をそうさせたか……という「胎児の夢」の存在に関する疑問の数々も...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...又は……これから舞いはじめる……とか……これから狂う……とか……これが私の誇りである……境界である……悲しみである……喜びである……とか……ここが大切な処である……とか……これから曲の気分がかわる……とか……これで一段落である……とかいう心を如実に見せ...
夢野久作 「能とは何か」
...しかも自乗に逆比例していることを如実に示しておるわけですよ...
蘭郁二郎 「白金神経の少女」
...それを如実に描き出すことである...
和辻哲郎 「院展遠望」
...我々はただ現在の運命を如実に見きわめることによって(すでに起こった事に対する謙虚な忍従によって)...
和辻哲郎 「停車場で感じたこと」
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