...こがらしが吹いて空が暗く物わびしい午後などになると...
岩本素白 「こがらし」
...その後姿はわびしい...
梅崎春生 「狂い凧」
...わびしい一日一日を送って居られるらしく...
太宰治 「燈籠」
...われ/\は、この力のない、わびしい、果敢(はか)ない光線が、しんみり落ち着いて座敷の壁へ沁み込むように、わざと調子の弱い色の砂壁を塗る...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...お地蔵さんもあたたかい涎かけ汽車が通れば蓬つむ手をいつせいにあげ・何やら咲いてゐる春のかたすみに・明日の米はない夜(ヨル)の子を叱つてゐる(ボクチン風景)此宿はほんたうにわびしい...
種田山頭火 「行乞記」
...わびしい人間だからなんでしょうね! ほんとに私たち...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...わびしい旅の第一夜であつた...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...わびしい気持ちで...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...戀びとよこのうす暗い冬の日の道邊に立つて私の手には菊のすえたる匂ひがするわびしい病鬱のにほひがする...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...わびしい追憶の心像(いめえぢ)は...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...子供のわびしい心がなにものかにひきつけられてゐたのだ...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...沿海地方馬や駱駝のあちこちする光線のわびしい沿海地方にまぎれてきた...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...安宿風のわびしいカーテンが上がった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「真劇シリーズ」
...わびしい気持をまぎらす事が出来なかった...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...」と軽やかなわびしい音をたてつづけ...
横光利一 「旅愁」
...わびしい夏景色の一つではあつた...
吉川英治 「折々の記」
...ただ一人すら見えぬわびしい上(あ)ゲ畳(だたみ)に...
吉川英治 「私本太平記」
...昔の地域の所に横文字のわびしい看板だけは見せている...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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