...主人が重病の間一日ぢゆう眺めてゐたものはこの巨(おほ)きな額縁のなかに区切られた沙漠のわびしい風景であつたのです...
犬養健 「亜剌比亜人エルアフイ」
...その後姿はわびしい...
梅崎春生 「狂い凧」
...そんなにわびしい思(おも)いをなさいますな...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...柚味噌のわびしい風味をたのしむ人の振舞とも覚えない...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...わびしい音を立てて私の前に落ちて来た...
薄田泣菫 「独楽園」
...お地蔵さんもあたたかい涎かけ汽車が通れば蓬つむ手をいつせいにあげ・何やら咲いてゐる春のかたすみに・明日の米はない夜(ヨル)の子を叱つてゐる(ボクチン風景)此宿はほんたうにわびしい...
種田山頭火 「行乞記」
...Sへ手紙を書いてわびしい気持になつた...
種田山頭火 「其中日記」
...何とも言はれない濁つたわびしい心持を私に誘つた...
田山録弥 「ある日」
...――墓場よりももっとわびしい場所に思われた...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ」
...わびしい旅の第一夜であった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...老嬢(おうるどみす)になった娘のミシン台とたんすが一棹(ひとさお)あるきりのわびしい暮しかただった...
長谷川時雨 「木魚の顔」
...こんなわびしい風景の中で...
久生十蘭 「キャラコさん」
...安宿風のわびしいカーテンが上がった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「真劇シリーズ」
...さぞかしそれはわびしいことであろう...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...その小川の水源のわびしい分水嶺を越えていつた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...うらわびしい黄昏はない...
吉川英治 「私本太平記」
...はなはだわびしいものであった...
和辻哲郎 「寺田さんに最後に逢った時」
...この雨の中のわびしい電車に乗るなどということは...
和辻哲郎 「寺田さんに最後に逢った時」
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