...合い乗りらしい人力車のわだちの音も威勢よく響いて来た...
有島武郎 「或る女」
...海の底の水はうずをまいて、あわだち、さかなどもは逃げまわり、まるい鉄の潜水機は、ブランブランとゆれ動き、潜航艇はロープをはなすまいと、右に左にしっぽをふり、鉄の人魚は、その背中の上で、あばれまわり、命がけのたたかいが、つづけられました...
江戸川乱歩 「海底の魔術師」
...鏡の影を合わせて、幾千人の裸女と黒衣が、乱れ、もつれ、あわだち、ゆらいだ...
江戸川乱歩 「影男」
...車のわだちのあとに生えてゐたおばこ草もいつの間にかなくなつた...
竹久夢二 「砂がき」
...せいぜい氷のわだちの中をガタピシと進むとき...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 荒木光二郎訳 「フランダースの犬」
...それから車のわだちの跡が村までつづいていないで...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...轍(わだち)の音を殺して靜かに/\後を追ひます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ああ 俥のはしる轍(わだち)を透してふしぎな ばうばくたる景色を行手にみる...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...襟(ゑり)の印のあがりも際立(きわだち)て...
樋口一葉 「たけくらべ」
...つりあいのとれた眉はいっそうくっきりときわだち...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...また広場のまん中にひれ伏してその身を車のわだちの下に敷き挫(くじ)かせ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...輜重(しちょう)の車馬が踏みあらした轍(わだち)が深く刻まれている...
吉川英治 「黒田如水」
...軌(わだち)の痕(あと)はある...
吉川英治 「私本太平記」
...つづいて夜露に濡れて汚れた軌(わだち)が重たげに転(まわ)りだす...
吉川英治 「親鸞」
...ここを巡(めぐ)りゆく軌(わだち)の音にも...
吉川英治 「親鸞」
...軌(わだち)は土を掘って林の道を揺るぎだした...
吉川英治 「親鸞」
...同じ軌(わだち)を泥上(でいじょう)にえがいて...
吉川英治 「随筆 新平家」
...雨上がりの轍(わだち)のなかに落ち込んで...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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