...僅(わずか)に板形の残った天井下の三畳ばかりに立籠(たてこも)った...
泉鏡花 「遺稿」
...わずか五銭のもと手でその時三十銭から四十銭にはなりました」「そんなにいい儲け口を止めてしまったのには?」「そりゃア...
岩野泡鳴 「猫八」
...わずかのすきをうかがって...
海野十三 「電気鳩」
...子どもらはわずかな遊び時間をもかってに石垣をつたって...
壺井栄 「二十四の瞳」
...それだのに体量だけはわずかの間に莫大(ばくだい)な増加を見せて...
寺田寅彦 「あひると猿」
...それでもその規則はずれの自由さはほんのわずかの程度のものであった...
寺田寅彦 「俳句の精神」
...わずかに残っている...
中谷宇吉郎 「北国の春」
...長崎留学の時代からわずか百年にも足らぬ間に...
中谷宇吉郎 「長崎留学」
...わずかに悲愁を支え...
久生十蘭 「湖畔」
...わずか七百匁の火薬で...
久生十蘭 「ひどい煙」
...一人当りの分配額はわずかに約四磅(ポンド)にしかならぬと計算されているが...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...表面採集の網を下ろしわずか五分ほど曵くと...
武者金吉 「地震なまず」
...わずかに岐阜師範の舎監であった名和靖氏に会ったこと...
武者金吉 「地震なまず」
...そうまでして成功したものの数はわずかだったのだ...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...この屋根の下にあるわずかな月日は陶器の持つ千年にまたその一日というものを加えてゆくのである...
室生犀星 「陶古の女人」
...おゆるしとあれば、三木の一勢が」「行くというのか」「望んでおりまする」「俊連のひきいて来た船手も、かくては用をなしていないな」「なにせい、わずか九隻...
吉川英治 「私本太平記」
...その間の滞京期間はわずか半月足らずでしかなかった...
吉川英治 「随筆 新平家」
...今、天下は平相国(へいしょうこく)の領地でないところはなく、平家の与党の住まぬ地は一郷一村とてない程なのに、一流人(るにん)から起って、わずか三十余日、麾下(きか)の武者とて五、六百の小勢に過ぎぬ微弱を以て、この広常が、二万の大兵をひきつれて加担に罷(まか)り出たとあれば、将門が秀郷を迎えたよりは、大歓びに歓ぶかと思いのほか、遅参の条、緩怠至極(かんたいしごく)...
吉川英治 「源頼朝」
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