...わざとしわがれた声で...
芥川龍之介 「偸盗」
...魚の引きを楽しむためにわざと弱い竿を用いたり...
梅崎春生 「魚の餌」
...わざと勿體ぶった...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...わざと名乗らないでなれなれしく傍へ寄ると...
中里介山 「大菩薩峠」
...男はわざと会堂の垣(かき)に身を寄せた...
夏目漱石 「三四郎」
...愈(いよ/\)汽車の出(で)る間際(まぎは)に、梅子はわざと、窓際(まどぎは)に近寄(ちかよ)つて、とくに令嬢の名を呼んで、「近(ちか)い内(うち)に又是非入らつしやい」と云つた...
夏目漱石 「それから」
...要(い)らない所にわざと手を掛けて...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...家は四つ目にありますが、仕事の忙しい時や、ひどく遲くなつた時は、よくお店に泊ります」「泊る日は極つて居ないわけだな」「月に五度や六度は泊りますが、仕事の都合で、晝のうちにその晩泊る時は、家まで小僧を使にやります」「すると昨日(きのふ)も、晝のうちから店の者にはお前が泊ることがわかつて居たのだな」「へエ」「下手人が家の者だ、――お前が泊るのを知つて居て、わざとその晩、お前に番人をさせて主人を殺した手口は恐ろしいな」平次は斯(か)う獨り言のやうに言ふのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...彼がわざと頭を掻く振りをして手をあげても...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...今はわざと速力を落して八百キロだ...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...わざと背中を向き合わせてばかりいた...
堀辰雄 「美しい村」
...僕はわざとその森の前を素どおりし...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...わざと自分にひどい屈辱を与えよう...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「鉄道事故」
...わざとらしく女に接近することを避けてゐた...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「復讐」
...さらに何もののわざとも思いつかずと...
柳田国男 「遠野物語」
...二番目にはわざと勝を譲って還ろうとしたが...
柳田国男 「山の人生」
...わざと御接待に出して...
吉川英治 「上杉謙信」
...わざと煙管(きせる)で粉をハタきながら...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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