...彼は母にあってよどみなくいうべき言葉を...
海野十三 「人造人間エフ氏」
...そこに小さなよどみと云いますか...
大阪圭吉 「死の快走船」
...またしても濃い睫毛の下よりこぼれでる涙の雫(しずく)は流れよどみて日にきらめいた...
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 二葉亭四迷訳 「あいびき」
...流れのよどみに一むらの蒲(がま)が生(お)い茂っていた...
寺田寅彦 「試験管」
...鈍くしろい眼だけがそのよどみに細くとろけ残る...
峠三吉 「原爆詩集」
...彼はそれをよどみなく流暢(りゅうちょう)に話したわけでもなかったが...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...やがては思想のうちによどみ凝集して青銅の鐘となる...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...八百流沙界(はちひゃくりゅうさのかい)三千弱水深(さんぜんじゃくすいふかし)鵞毛飄不起(がもうただよいうかばず)蘆花定底沈(ろかそこによどみてしずむ)――西遊記――一そのころ流沙河(りゅうさが)の河底に栖(す)んでおった妖怪(ばけもの)の総数およそ一万三千...
中島敦 「悟浄出世」
...言葉に少しもよどみがない...
夏目漱石 「三四郎」
...どうか湯加減をよく見て上げてな」とよどみなく述べ立てた...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...そこでいつも次の滞潮(よどみ)に近いころまでいて...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「メールストロムの旋渦」
...二人を代表して返事してくれ」元ジョージ卿はよどみなく話したが...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...巧まざる心懐の淙々と流れるよどみのなさにこゝろよく惑き入れられるものがあつた...
牧野信一 「月評」
...牛込見附の櫻の枯枝の隙に光るお濠の水のつめたさうなよどみに...
水野仙子 「神樂阪の半襟」
...重く光のよどみはじめた西の空をみつめた...
山川方夫 「その一年」
...はい」と新八は云いよどみ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...お館(やかた)へお渡しいたすてはずになっておりまする」よどみのない使いの弁舌(べんぜつ)に...
吉川英治 「神州天馬侠」
...この奇童(きどう)のよどみなき弁(べん)によわされてしわぶきすらたてず...
吉川英治 「神州天馬侠」
便利!手書き漢字入力検索