...ゆらりゆらりと流れてゆく...
海野十三 「人造人間エフ氏」
...ゆらりゆらりと所をかえて行く...
海野十三 「太平洋魔城」
...大時計のゆらりゆらりと動いている大きな振子に抱きついて...
海野十三 「時計屋敷の秘密」
...草はらのむこうには、赤濁りに濁った海が、低い曇天に押しつぶされ、白い波がしらも無しに、ゆらりゆらり、重いからだをゆすぶっていて、窓のした、草はらのうえに捨てられてある少し破れた白足袋は、雨に打たれ、女の青い縞(しま)のはんてんを羽織って立っている私は、錐(きり)で腋(わき)の下を刺され擽(くす)ぐられ刺されるほどに、たまらない思いであった...
太宰治 「狂言の神」
...ゆらりゆらりと歩を運んでくる姿というものを...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...人形がゆらりゆらり御叩頭(おじぎ)をしたり...
寺田寅彦 「雑記(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」
...八本の足をすぼめて立ち、入道頭をふり立て、眼玉をぎょろつかせて、ふらりふらり、ゆらりゆらりと、踊り廻り、その数、十、二十、或るいは三十、音楽のリズムの緩急には殆んど無関係に、淡い赤色の照明の中を、ふらりゆらり、くっついたり離れたり、踊り歩き、音楽が止むと、狭いホールの四方に散り、足をひろげてべたりと屈みこむのである...
豊島与志雄 「蛸の如きもの」
...臀の肉の上にゆらりゆらりと身体を揺り初めた...
豊島与志雄 「未来の天才」
...鯉の滝のぼりの浴衣をきた飴屋の男が うどどんどん と太鼓をたたきながら肩と腰とでゆらりゆらりと調子をとつてくるあとからあねさんかぶりをした女がぢやんぢやかぢやんぢやか三味線をひいてくる...
中勘助 「銀の匙」
...蛍(ほたる)が淋しいもののようにゆらりゆらりと行く...
中里介山 「大菩薩峠」
...船はゆらりゆらりと船渠(ドック)を出てしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...ゆらりゆらりと山を押しながら行くお銀様の目は...
中里介山 「大菩薩峠」
...山王様の御門前の方へとゆらりゆらり出かけて行ってしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...ゆらりゆらりと、柳が揺れてゐる、時々校庭を通り過ぎるのは小使か何かで、とまれ生徒ではない...
中原中也 「夏」
...柔かい肱(ひじ)がゆらりゆらりと...
野村胡堂 「流行作家の死」
...ゆらりゆらり輪をかいて浮いてゆくむらさき色のけむりはいゝ...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...金扇(きんせん)の馬簾(ばれん)が、ゆらりゆらり、そこから少し山蔭へかくされた頃――仏(ぶつ)ヶ根(ね)の山腹から裾にかけて、井伊兵部直政(いいひょうぶなおまさ)の赤一色の旗さし物や人数が、岩間岩間を山つつじの花が染めるように、展開していた...
吉川英治 「新書太閤記」
...一つの入江の浪打際を過ぎて丘を越ゆると思いもかけぬ鼻先(はなさき)に碇泊中の帆柱がゆらりゆらりと揺れていると云った具合だ...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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