...灯台の蝋燭の灯のゆらぎに動きを齎(もたら)してあります...
上村松園 「砧」
...怪火(かいか)がゆらぎ(これは一郎のもっていた懐中電灯のことだ)それから朝になっていってみると...
海野十三 「未来の地下戦車長」
...ランプがゆらぎました...
アントン・チエーホフ Anton Chehov 鈴木三重吉訳 「子守つ子」
...ひとづまあえかなる笑や、濃青(こあを)の天つそら、君が眼ざしの日のぬるみ、寂しき胸の末枯野(くだらの)につと明らめば、ありし世の日ぞ散りしきし落葉樹(おちばぎ)は、また若やぎの新青葉(にひあをば)枝に芽ぐみて、歡喜(よろこび)の、はた悲愁(かなしび)のかげひなた、戲(あざ)るる木間(こま)のした路に、美(うま)し涙の雨滴(あまじた)り、けはひ靜かにしたたりつ、蹠(あなうら)やはき「妖惑(まよはし)」の風おとなへば、ここかしこ「追懷(おもひで)」の花淡じろく、ほのめきゆらぎ、「囁き」の色は唐棣(はねず)に、「接吻(くちづけ)」のうまし香(かをり)は霧の如くゆり靡きて、夢幻(まぼろし)の春あたたかに、醉ごこちあくがれまどふ束の間を、あなうら悲し、優(やさ)まみの日ざしは頓に日曇(ひなぐも)り、「現(うつ)し心」の風あれて、花はしをれぬ、蘖(ひこば)えし青葉は落ちぬ、立枯の木(こ)しげき路よ、ありし世の事榮(ことばえ)の日ははららかにそそ走りゆき、鷺脚の「歎き」ぞ、ひとり青びれし溜息低にまよふのみ...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...草かた葉さゆらぎて...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...奇(く)し御靈(みたま)葉(は)にもゆらぎて...
薄田淳介 「白羊宮」
...海の真中からゆらぎ出す潮のように...
ラビンドラナート・タゴール Rabindranath Tagore 宮本百合子訳 「唖娘スバー」
...風がとほくを過ぎるときに身體をかたくして 僕は手をたれてゐる家畜の眠りのまはりの夜のやうにかすかな響が僕を包んだ――僕にはどうしてもわからないどうしてあんなにいそぐのかそして或る時はしづかなのか風のことが窓をとざして僕は聞いてゐるさうして いつまでも聞いてゐると焔のゆらぎに 谺に 風はかなしく答へにやつて來る夜のなかでうたひつづける汚れた僕の分身...
立原道造 「夜に就て」
...しばらくの別れを握手に告ぐる妻が鬢(びん)の後(おく)れ毛(げ)に風ゆらぎて蚊帳(かや)の裾ゆら/\と秋も早や立つめり...
寺田寅彦 「東上記」
...水の底が遠くまで透けて日光につくられた金いろの網がぶわぶわとゆらぎ...
中勘助 「島守」
...青味を帯びた厖大な氷になってゆらぎだし...
久生十蘭 「白雪姫」
...神々しい夜だ! 蠱惑的な夜だ! 闇にとざされた森は霊化したもののやうにさゆらぎもせず...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...その大きなたうもろこしの木がほとんどいちめんに植ゑられてさやさや風にゆらぎ...
宮沢賢治 「銀河鐵道の夜」
......
三好達治 「駱駝の瘤にまたがつて」
...雨戸漏れの空気のゆらぎが一層(いっそう)冷たく脇の下を通りすぎた...
室生犀星 「三階の家」
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室生犀星 「抒情小曲集」
...微小(みしょう)な灯(ほ)ゆらぎの中に...
吉川英治 「私本太平記」
...百目蝋燭一本のゆらぎしかない掛小屋の太平記読などを聞いていようという庶民では...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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