...小林君はそんなことを考えるゆとりなどありません...
江戸川乱歩 「青銅の魔人」
...其の一面にはお互の生活に殆ど緩(ゆつく)り物を味ふといふ程の余裕(ゆとり)が無くなつて...
薄田泣菫 「茸の香」
...苦痛と戦う自分を客観視するだけのゆとりができれば...
高神覚昇 「般若心経講義」
...尠(すくな)くとも諷詠しようとする人の心にはゆとりが出来る...
高浜虚子 「俳句への道」
...しかしさうきめて了つては、きまつたものにして了つては、ゆとりが取れず、融通がきかないものになつて了ふのを知らないのである...
田山録弥 「ある時に」
...だれひとり先生にあいさつをするゆとりもないらしいなかを...
壺井栄 「二十四の瞳」
...彼は取ってつけたようなゆとりを表わした好奇の眼で...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...少しくゆとりを示しておくことが必要なのである...
豊島与志雄 「程よい人」
...ただこの大観をたのしむほどのゆとりに乏しい...
別所梅之助 「雪の武石峠」
...余裕(ゆとり)――身にも心にも...
正岡容 「小説 圓朝」
...輪廓(りんくわく)の大きい割に顏に些(ちつ)ともゆとりが無く頬(ほゝ)は(こ)けてゐる...
三島霜川 「青い顏」
...笑うだけのゆとりがなく...
水上滝太郎 「九月一日」
...かえったら眠って翌朝また出勤して来るだけのゆとりしかなかったら...
宮本百合子 「いのちの使われかた」
...ああいうところにある家らしいゆとりがぐるりにあります...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...だがそのために今度は量の方がふくらみ、幅があり重みが出て、ゆとりが生じ、穏かさがある...
柳宗悦 「赤絵鉢」
...しかし事が事であるから他のばあいほど時間にゆとりがなく...
山本周五郎 「百足ちがい」
...しかしもう自己を疑うゆとりはない...
吉川英治 「私本太平記」
...鴻山(こうざん)の所在を探しているゆとりもない身――弦之丞は阿州屋敷(あしゅうやしき)へそれとなく目をつけ初めた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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