...ゆく末に何の導(しるべ)ぞ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...種になつてゆく末まで...
長谷川時雨 「菜の花」
...我が戀人のゆく末を守り玉へと...
樋口一葉 「ゆく雲」
...我(わ)が戀人(こひびと)のゆく末(すゑ)を守(まも)り玉(たま)へと...
一葉女史 「ゆく雲」
...妻子のある男がほかの女にゆく末のことを約束して...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...ゆく末はかならず夫婦になろうと約束していた...
山本周五郎 「留さんとその女」
...ただ、お縫どのに、この上の傷(いた)みをかけずに、ゆく末、きょうを忘れて、よい人妻となるように、祈って逝(ゆ)かれるのが、唯一のお詫びです...
吉川英治 「大岡越前」
...――ゆく末、国家のためにならぬから、殺してくれと、家兄玄徳のところへ、曹操から依頼がきている...
吉川英治 「三国志」
...このさい和殿が不在となっては心もとない」「お諭(さと)し、よう分りまいた」「ご合点かの」「父に逆ろうてもとまで、思い極(きわ)めておりましたが」「それよ、その誠意だにお失いなくば、ゆく末、御奉公の場所はいくらでもあろう...
吉川英治 「私本太平記」
...ゆく末、よい世に巡り会いたいなら、父子、叔父(おじ)甥(おい)、かたらいあってみなやって来い...
吉川英治 「私本太平記」
...ゆく末(すえ)のことなど話しこんでいたのであった...
吉川英治 「私本太平記」
...ゆく末合戦の絶えない国...
吉川英治 「新書太閤記」
...おめえは、この女を、知っているのか」「知ってるどころの沙汰じゃあねえ! この女あ、おれのいいなずけなんだ」「えッ、いいなずけだって」「いや、ゆく末、夫婦の約束をしたんだから、内縁の女房といったほうが分るだろう」「ほんとかい、なるほど、美(い)い女だが」「だれが、嘘をいう!」と、三蔵は、仲間へ、誇っていった...
吉川英治 「新書太閤記」
...子はまだ九歳、ことに、私の猶子(ゆうし)となっておりますゆえ、いかな平家のあらくれ武士も、よもやと思ってはおりますが、私に、恨みをふくむ者もあって、十八公麿の実父有範(ありのり)こそは、源三位(げんざんみ)頼政公の謀叛(むほん)に加担して、宇治川のいくさの折に、討死したものであるなどと、あらぬ沙汰(さた)も撒(ま)きちらされ、ゆく末、怖ろしい気がいたすのでございます」じっと、僧正は、考えこむのであったが、ややあって、「いさい、わかった...
吉川英治 「親鸞」
...ゆく末、東国の諸州を締めくくる人物は、あなたを措いてはありませんぞ)四方の小地主や地侍は、招かずして、豊田の門に馬を繋(つな)ぎに来、そろそろ、将門の耳には、甘い世辞や、彼をもちあげる阿(おもね)りが、集まりかけているのである...
吉川英治 「平の将門」
...で……それよりは、お前たち姉妹(きょうだい)こそ」と弦之丞は、お千絵の顔をジッと見て、「ゆく末、むつまじく暮らしてくれ」と力をこめて、ふたりにいった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...又八どの、此度(このたび)、御縁の候て、当方の養子にもらいうけ候に就いては、おん前様(まえさま)のこと、懸念のようにみえ候まま、左候(さそうろう)ては、ゆく末、双方の不為故(ふためゆえ)、事理(ことわけ)おあかし申し候て、おもらい申候...
吉川英治 「宮本武蔵」
...法(のり)の水 あさくなりゆく末の世をおもへばさむし比叡(ひえ)の山かぜ武蔵はじっとその前に立ちつくしていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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