...急に襲いかかるやるせない嫉妬(しっと)の情と憤怒とにおそろしい形相(ぎょうそう)になって...
有島武郎 「或る女」
...いかにもやるせないやうな溜息をついて...
太宰治 「お伽草紙」
...やるせない沈黙(ちんもく)の瞬時(しゅんじ)が流れましたが...
田中英光 「オリンポスの果実」
...雪の黄昏を眺めた私の心のやるせない淋しさ――それは世界を掩うて近寄り来る死の蔭の冷(ひい)やりとした歩(あゆ)みをわれ知らず感じたのでした...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...そうして子供心にやるせない悲哀(かなしみ)を感じた...
徳冨蘆花 「地蔵尊」
...そしてやるせない憤懣でもあったのでしょう...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...やるせない心持になるのを...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...なつかしくやるせない思ひ出の一つだつたでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私はもう」お静はやるせない胸を抱くのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その時も何んの変りも無かったようで」お通はやるせない姿でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...淺野屋だつてあの通り喧嘩別れだし」お君は本當にやるせない姿でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...やるせない懐疑なのであろう...
久生十蘭 「キャラコさん」
...やるせない思いに沈んでいると...
久生十蘭 「重吉漂流紀聞」
...やるせないほどのよろこびが感じられる...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...やるせない倦怠をまぎらわすために国政をいじりまわすことをはじめた...
久生十蘭 「淪落の皇女の覚書」
...山上のやるせない秋のさびしさがひしひしと感ぜられる...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...そこで最も深刻な最もやるせない眼色をするからなのであろうか...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...やるせないやうな心持には自分は同感する事が出來た...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
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