...妙子はやむを得ずそう云う時にはピアノばかり弾(ひ)かせるのです...
芥川龍之介 「或恋愛小説」
...僕はやむを得ずマツグに向かひ...
芥川龍之介 「河童」
...やむを得ずんば大学教授の適任者と做すも忍ばざるにあらず...
芥川龍之介 「続野人生計事」
...彼女はそのためにやむを得ず第一の問題に縋(すが)りついた...
芥川龍之介 「春」
...トウルゲネフはやむを得ず...
芥川龍之介 「山鴫」
...――そこでやむを得ず...
芥川龍之介 「路上」
...やむを得ず自己流の杖をついて身体をぐんと後にかけてやっと止るとウ氏が見ていた...
板倉勝宣 「五色温泉スキー日記」
...やむを得ず杜は、名刺を一枚だして、それに日附と時間とを書きこみ、それから裏面に「横浜税関倉庫ハ全壊シ、着荷ハ三分ノ二以上損傷シタルモノト被存候(ぞんぜられそうろう)」と報告を書きつけた...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...やむを得ず二三個所に招かれて行きましたが...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...やむを得ずまはりから...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...少しいることもあるんだが……」「それじゃ二円でもいい」荻生さんはやむを得ず一円五十銭だけ貸した...
田山花袋 「田舎教師」
...自分が甲野の身分でこの部屋の主人(あるじ)となる事が出来るなら、この二年の間に相応の仕事はしているものを、親譲りの貧乏に、驥(き)も櫪(れき)に伏す天の不公平を、やむを得ず、今日(きょう)まで忍んで来た...
夏目漱石 「虞美人草」
...やむを得ず書斎から飛び出して行って...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...政府をしてやむを得ず条約を破棄せしむるように強請している一派に対して...
服部之総 「尊攘戦略史」
...武家の招待のためにやむを得ず御断りを申し上げたこともある...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...そこでやむを得ず泣く泣く海を渡つて祖国を離れ私から遠ざかつたのであると斯う説明したわけであらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...ただしヴィラはやむを得ず泊まることになった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...やむを得ず、私が代りに陛下のところに伺って、案文をご覧に入れたのであったが、その時私が深く感じたのは、陛下は極めて平然たる御態度でこれをお受け取りになり、むしろこれを待ちもうけておられたというような積極的なご様子で、早速案文をご点検になり、ある部分は低い御声で発声して朗読されたように私はいま記憶しておる...
前田多門 「「人間宣言」のうちそと」
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