...彼女は何かやつれたやうに彼の方へ歩み寄つた...
芥川龍之介 「或阿呆の一生」
...それはまた彼女のやつれた姿にちょうど朝日に輝いている薄(うす)ら氷(ひ)に近いものを与えていた...
芥川龍之介 「古千屋」
...この女も定まった路を歩いて来たのだ――旅鞄(たびかばん)を膝に載せて、やつれた、悲しげな、しかし艶(なまめ)かしい、居睡(ゐねむり)を初める隣の女...
石川啄木 「心の姿の研究」
...恰度やつれた母の顏の樣ぢやないか...
石川啄木 「漂泊」
...面影やややつれたれども...
泉鏡花 「海神別荘」
...産後のやつれた頬に冷い微笑を浮べて応答した...
太宰治 「古典風」
...一方で例のドンファンの雄鳥はと見るとなんとなく羽色がやつれたようで...
寺田寅彦 「あひると猿」
...やつれたようだね...
豊島与志雄 「死の前後」
...お雪ちゃんはやつれた面に乱れた髪を少しかき上げて...
中里介山 「大菩薩峠」
...病みやつれたあたしを上野駅まで見送ってくれて...
長谷川時雨 「渡りきらぬ橋」
...妙に青白くやつれた様子は一気に歳をとったようだった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...やつれた顔つきを変えることなしに...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...やつれた顔じゅうにただ二つの眼と蒼黒い大きな口だけしかないようなツメオは息子の上に屈んで...
宮本百合子 「一太と母」
...五カ月のあいだ四日熱をわずらって見ちがえるようにやつれたこともあるけれど...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...やつれた姿(すがた)がかげでもわかる...
吉川英治 「神州天馬侠」
...やつれた頬を伝(つた)って...
吉田甲子太郎 「秋空晴れて」
...Bullock 恋にやつれたエレクトラの広告板から湧き出すオオケストラ...
吉行エイスケ 「恋の一杯売」
...同時に花子のやつれた姿がよろよろと死の首で辛(かろ)うじてささえられた...
吉行エイスケ 「バルザックの寝巻姿」
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