...石炭を積んだ達磨船(だるまぶね)や白ペンキのはげた古風な汽船をものうげにゆすぶっているにしても...
芥川龍之介 「大川の水」
...自分もものうげに立ちあがった...
江戸川乱歩 「影男」
...根気(こん)のいいものだね」彼はものうげに...
江戸川乱歩 「五階の窓」
...ものうげに眉をあげて檻の中をしずかに観察しはじめた...
太宰治 「逆行」
...彼等がものうげに動くたびにちりんちりんと鳴る小さな垂れ下っている飾物を身に著けていた...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...船の荷倉に折り重なって豚のように寝ているニグロの群れを映じてそれにものうげに悲しい鄙歌(ひなうた)を歌わせるのがあった...
寺田寅彦 「映画時代」
...あるいはまだ長い眠りがさめきらないようにものうげに八対の足を動かしていた...
寺田寅彦 「簔虫と蜘蛛」
...ものうげにからだを動かして...
新美南吉 「和太郎さんと牛」
...ものうげにゆれている河面にゆめのような華彩の影をおとし...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...ものうげに百合子の子供のやうな手を見てゐる...
林芙美子 「「リラ」の女達」
...の木立はものうげに...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...ものうげに滑らかにやすらっているし...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...ものうげにいった...
室生犀星 「姫たちばな」
...溜息わが家には子守唄はたと止みつつひとびと物言はずものうげにうごくことなくただ溜息のみつききのふもけふも暮れけり...
室生犀星 「忘春詩集」
...ものうげに折々眠元朗を見戍(みまも)るだけだった...
室生犀星 「みずうみ」
...ものうげに立ちあがった...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...ものうげに説くところであります...
吉川英治 「江戸三国志」
...――吉保は、重秀が立ち帰ると、「ああ、ちと酔うた」と、ものうげに、両手をうしろへ落し、大廂(おおびさし)の外に、わが世の春を飾るがごとくある星を仰いで、大きく酔後(すいご)の息を吐いた...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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