...それじゃ存分に言ってやろうと私もとうとうほんとうに腰をすえてかかるようにされていた...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...もとの三宝ヶ辻まで引返すと...
泉鏡花 「遺稿」
...」それを聞くと、うろついていた乗客たちが、ワーッと、なだれをうって、もとの車室へ、逃げこもうとします...
江戸川乱歩 「黄金豹」
...つひぞ気にもとめずにゐた医師高間房一といふ人物がそこに忽然と姿を現してゐるのをいやでも見なければならぬと感じさせた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...もとの彼は、悲しい折々には頭に浮かんで来る手当り次第の理屈でもって自分を慰めていたものだが、今の彼は理屈どころの騒ぎではなく、しみじみと深い同情を感じて、誠実でありたい、優しくありたいと願うのであった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...其(その)天棚(てんだな)は以前(もと)は立派(りつぱ)な木(き)の柱(はしら)を丁度(ちやうど)小(ちひ)さな家(いへ)の棟上(むねあ)げでもしたやうな形(かたち)に組(く)まれたのであつた...
長塚節 「土」
...それだけでもともかく日本語のあらゆる音を書くことが出来る訳で...
橋本進吉 「古代国語の音韻に就いて」
...妻の家にもと居た水原の事などは全く忘れてしまった位幸福だったのです...
浜尾四郎 「途上の犯人」
...そして彼は枕もとに用意してあるヴエロナアルを飮まうとしたけれど...
堀辰雄 「恢復期」
...私はくるりと踵を返して一散にもと来た方へと引き返した(一〇・〇〇)...
松濤明 「春の遠山入り」
...ふもとの森でナイチンゲールの歌うのを聞きながら...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...吾(わ)れも吾(わ)れもと船長室へ押しかけて...
夢野久作 「焦点を合せる」
...養蠶の外に稻は俵にはいつて、今田舍は大根ぬきで忙しい、棉もとれた、そちこち棉ぶちのビン/″\の音も聞える...
横瀬夜雨 「花守」
...金(きんい)はもとよりそれにも勝(まさ)る憂いを抱いていたので...
吉川英治 「三国志」
...愛情にもとづく言い争いもあったであろう...
吉川英治 「私本太平記」
...するといきなり誰かその袂(たもと)をつかまえて...
吉川英治 「新・水滸伝」
...彼なれば何でもと心をゆるして...
吉川英治 「宮本武蔵」
...もとより伊織の知るところでもなし...
吉川英治 「宮本武蔵」
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